目標は同じ

「自分が変わる」というとき、どんな自分をイメージしているのだろ
う。

 シンレデラみたいに、みすぼらしい女が、王子の后に。

 貧乏人が、大金持ちに。

 弱い人が、スーパーマンに。

 モテない人が、モテモテに。

 というふうに、自分の環境が180度一変してしまうこと、劇的に
変わってしまうことを夢想しているかも知れない。

 そんな180度の一変する環境を期待していれば、どんなに自分の
中に内的変化が起こっても、「少しも変わっていない」ふうに見える
に違いない。

 超能力者が、横断歩道を渡ろうとしている。

 しかし途切れもなく押し寄せる車の波に、なかなか横断歩道を渡れ
ない。

 超能力者はいらだって、突風を起こして車を吹き飛ばした。

 車は次々に突風になぎ倒されていった。

 超能力者は得意満面そうな表情をして、その横断歩道を渡った。

  そこへ子供がやってきた。

 その子供も横断歩道を渡ろうと思った。

 しかし、やはり、車の波に圧倒されて、怖くてなかなか渡れない。

 そこで子供は、横断歩道を前にして、左手を伸ばした。

 その指の先には、信号機のボタンがあった。

 子供がそのボタンを押してしばらくすると、車はいっせいに止まっ
た。

 子供は、横断歩道を何事もない顔をして渡って行った。

 横断歩道を渡るのに、すごいパフォーマンスをして横断歩道を渡ろ
うと期待するより、いまできることを、できる方法でやっていくこと
を大事にしたい。