なぜ願いが叶わないのか(中)

「祈りは飽くまでも、右脳の世界である。
 ところが我々は、人として生きている。
 現実には、実社会で生活している。
 この社会では、右脳だけでなく、左脳も感情脳、脳幹、その他の脳
も働いている。」
 前回、こんな話をした。

 右脳のイメージでは、いくらでも幸せを祈ることができるし、幸せ
になっているイメージを体感できる。
 しかし、日常において、もし、
「人生なんて、こんなものさ」
 と心のどこかで呟いているとしたら、それも“負の祈り”である。
 しかもそれは、経験として実感のこもった祈りだから、朝晩「幸せ
になりますように」と祈るより、はるかに強烈だ。

 朝晩15分ずつ、合計30分「幸せでありますように」と祈ったと
しても、残りの23時間30分を「人生なんて、こんなものさ」を実
感しているとしたら、どちらが実現するだろうか。

 「幸せでありますように」と右脳でイメージして祈れば、確かに、
ほのかな幸せを実感できる。
 けれども、「人生なんて、こんなものさ」は、感情脳で体験として
強烈に実感している。
 あるいは脳幹では、「敵味方」を実感し、恐怖を抱きながら生活し
ている。

 とすれば、どんな形でそれが実現するかは、火を見るよりも明らか
であるだろう。

 人間脳にも感情脳にも脳幹にも、それぞれの心地よさや満足感があ
る。

 人間脳は智惠や知識の満足。
 感情脳は感情と愛と意志の満足。
 脳幹は肉体の満足である。

 この3つの満足のどれを目指しても、それを強く願えば、達成でき
るに違いない。

 この3つのそれぞれを、肯定的に強く思っているか。否定的に強く
思っているか。その強さがすなわち“願いの強さ”と比例する。

 3つの脳に対応したそれぞれの「願い方」が、それに応じて実現す
る。

 だから「願望達成」するには、それぞれの脳の“肯定”と“否定”
の分量をチェックしてみると良い。

 もっとも、この「願望達成」と、「満足感」とはまた、別物である。
願望が達成したからといって、満足するとは限らない。(つづく)