感情を抑えると感情的になる

職場に感情を持ち込むべきではない。
 たいていの人がそう思っているだろう。
 とりわけ男性は、職場で感情を持ち出すのは、タブーと思い込んで
いる。
 そういう当の本人が、実に感情的になっていると気づいているだろ
うか。
 職場で、上司が部下を感情的になって叱る。
 部下が上司の指示に対して、無愛想な態度をとる。
 気に入らないと、返事をしない。

 本人は、感情を抑えて我慢しているつもりでも、心の中で反感を抱
いたり、攻撃的な気持ちになっているのは、黙っていても察知できる。
 しかもしばしば、そうやって感情的になっているのは、別のところ
にその原因がある。
 昨晩、夫婦喧嘩をした。
 子供のことで、頭を痛めている。
 恋人と、口論をした。
 などなど。
 そんな苛立ちを、まったく関係のない人にぶつけてしまう。

 こんなふうに、当人は冷静なつもりでいても、感情を抑えている人
ほど、実は、非常に感情的である。
 言い換えれば、つい感情的になってしまうのは、感情を抑えようと
するからである。感情を抑えて、我慢しなければならないと信じてい
るからである。

 だからもっと、自分の感情に、素直なほうがいい。
 もっと「小さな感情」を大切にしていくほうがいい。
 本にも詳しく書いているが、感情を解放して「自分中心」に生きて
いる人ほど、感情的にならないで、冷静でいられる。
 しかもまた、そんな人は同時に「感情が豊か」で、信頼できる人と
なる。