感情を解放しなければ意志は育たない(前)

こんな社会環境にあっては、ますます「自分中心」の生き方が求め
られていくでしょう。「他者中心」で生きている人は、どんなに相手
に振り回されまいとしても、知らずのうちに、その渦の中に巻き込ま
れていきます。
 なぜでしょうか。
 それは、自分の「気持ちや意志」を核にして生きていないからです。
 自分の気持ちや意志を大事にできる人ほど、自分の身を守ることが
できます。
 では、その意志は、どうしたらもつことができるのでしょうか。
 ここが肝心です。

 意志は、あなたの欲求や願望から生まれます。
 その欲求や願望は、感情から派生しています。

 だから、自分の感情に気づかなかったり、無視したりすると、
「自分のしたいことがわからない」
「自分の気持ちがはっきりしない」
 というように悩んでしまうのです。

 一般的には論理的思考に優れていれば、
「意志が強くなる。判断力がつく。冷静でいられる」
 というふうに考えられているかも知れません。
 
 反対に、感情は抑え込んで、クサリにつないでおかなければ、暴走
してしまうと、大半の人が信じているのではないでしょうか。
 とりわけ男性のほとんどが、そう信じているに違いありません。

 あなたの身の周りに、
 冷静沈着な人。判断能力の高い人。状況把握に優れている人。素晴
らしい能力を発揮している人。叡知を備えている人。
 というような人はいませんか。

 そんな人を観察してみましょう。
 彼らは、気負わず、肩肘張らず、自分の気持ちを、風のように、小
川のせせらぎのように、実に素直に率直に表現していると気づくでしょ
う。
 決して、自分を抑えて固い表情をしたり身体を緊張させたりはして
いないはずです。
 雰囲気的には柔らかく、感情も豊かでありながら、竹竿のような心
のしなやかさと、芯の通った強さを感じるのではないでしょうか。

 ところがそれは、彼らにとっては、ただ、当たり前のごとく自分の
「感情や気持ち」を優先させているだけなのです。

 自分の感情を気持ちよく優先させることができれば、あなたの能力
が高くなります。
 それは、単に感情を抑えて緊張したり、我慢して緊張させるために
使われるエネルギーを、本来の自分のために使うことができるからで
す。

 実はそれは、能力が高まるのではなく、もともとあなたの中に押し
込められていた才能が、クサリを解かれて自由になるからなのです。(つづく)