感情を解放しなければ意志は育たない(後-1) 

 読者セミナーなどで、しきりに私が言っているのは、
「意志」は感情から生まれる
 ということです。

「意志が強い」というのをイメージで表すと、筋肉質のスポーツマン
タイプを思い浮かべる人はいないでしょうか。

 確かにそれも、意志の強さの形ではあるでしょう。
 けれども、スポーツ界で活躍した人達が社会で一般の社会人として
生活を始めたとき、問題を起こしたり、自殺したりしてしまうという
話を見たり耳にしたりしたことがあると思います。
 どうして、あんなに活躍した人が、こんな不祥事を起こすのだろう。
あれほどの人が、どうして自殺してしまったのだろう。あんなに意志
が強くて責任感が強そうな人が、卑怯なことをしてしまうのだろう。
 卑近な例でいえば、恋人が妊娠してしまったら、逃げてしまう。愛
人関係で、相手が妊娠して子供を生んでも、それを認めようとしない、
といった具合です。

 スポーツというのは、私の解釈ですが、
脳幹で反応している。
 だから、脳幹は発達している。

 脳幹には自律神経というのがあって、この神経は「戦うか逃げるか」
の反応を司っています。K1のボブサップさんが、負けたと自覚する
や、脅えはじめて大きな身体で、頭を庇い身を縮ませてしまう。あの
反応といえば、理解できるのではないでしょうか。

 要するに、この脳幹で反応している「脳幹の強さ」なんですね。
 ところが、この脳幹というのは、基本的には生命の維持ですから、
平和時には休憩しています。

 だからスポーツのような瞬発力を要するものには有効ですが、平和
時にサラリーマンになったときは戸惑ってしまうのです。
 しかも、脳幹以外の感情脳(大脳辺縁系)、人間脳(大脳新皮質)
を使い慣れていない。使い慣れていなければ、それが起動したとして
も、どう使っていいかが解らない、ということになるでしょう。

 だから、恋人や愛人が妊娠したとき、どう対処していいかが解らな
い。こんなとき「脳幹」で反応すれば、これは「戦うか逃げるか」し
かありませんから、愛情で処理することも、知性で処理することもな
く、対処方法がわからずに、スタコラ逃げてしまうことになるのです。
 もっとも、こんな解釈の仕方をすれば、ちょっと滑稽でもあり哀れ
でもあり、また、ユーモラスで可愛くもある、そんな気がしてもきま
すが。

 だからスポーツマン的な一見「意志が強そう」に見えるのは、すべ
ての脳をトータルにバランスよく働かせた強さとは、ちょっと違うの
です。

 逆に、骨太のこんなスポーツマンタイプが、感情を抑えていると、
感情を抑えているゆえに「メロメロに潰れて」いきます。
 不思議でしょう。
 酒に溺れる。
 麻薬に溺れる。
 女(男)に溺れる。
 その他〇〇に溺れる。

 映画でも、よくこんなシーンがありますよね。(映画をあまり観な
い人には意味が分からないかも知れません。そんな人にはご勘弁。)

 どうでしょうか。
 何となく、普段あなたがイメージしている「意志の強さ」とは違う
のだな、って気がしてきましたか?
 そういう意味では、強くある必要はないんですよ。(つづく)

(後編で終わるつもりでいたら、また、長くなってしまいました。これがメルマガのいいところでもあると、勝手に思っています。
 文章もまた、本にするよりは推敲しないで書いています。自分ペースですが、ご容赦願います。)