どっちに転んでも否定的

 2005年にPHP研究所から出版された『欠点を長所に変える話し
方』では、初めて「自分中心心理学」を全面的に出しての出版になった。
 それまでは、部分的には書いているが、「他者中心」「自分中心」
という概念があまり一般的でないために、多少オブラートに包んだ表
現の仕方をせざるを得なかった。

 この本では、筆のタッチも、多少、男性の不適切な言動パターンをスト
レートに言っているから、私自身としては小気味よい感覚で進めてい
けた。
 欠点と長所を両方扱えるから、書きやすかった。

 この本のテーマの一つとして、
「ひとつの現象は、肯定的にも、否定的にも、自分の捉え方で、どう
にでも解釈できるものである。どう解釈するかは、自分の“信念”に
よって変化する。」
 ということも言いたかった。

 例えば、「100パーセント」の仕事のうち「10パーセント」で
きたとする。
 否定的な信念をもっている人は、残りの90パーセントに焦点を当
てて、
「あーあー、まだ90パーセントも残っている」
 あるいは、
「あーあー、まだ、10パーセントしかできていない」
 と嘆くだろう。

 他方、肯定的な信念をもっている人は、
「おっ、もう10パーセントできたか。この調子でどんどんやってい
こう」
 などと発想する。

 仮に仕事が90パーセントできたとしても、否定的な信念をもって
いる人は、「90パーセントできた」ことよりは「できていない10
パーセント」のことを思い煩うだろう。
 否定的な信念をもっている人は、どっちに転んでも、否定的な面を
拾って嘆く。その癖を改めない限り、悩みは減らない。