マイナス環境の中にいるとき(1)

「マイナス感情で満たされた人」ばかりに囲まれてしまった場合、そういう人々との関わり方をどうしていったものでしょうか?
 Hさんからそんな質問をいただきました。
 まあ、これについて書くとしたら、一冊の本ができるくらいではな
いでしょうか。

 Hさんがおっしゃっているのが、家庭か職場かわかりませんが、い
まの社会全体が、そんな環境ということもできますね。

 多くの人が、「相手が悪い」という発想で他者中心的に、相手と戦っ
たり、責めたりしています。
 他者中心になればなるほど、被害者意識が強くなります。そのため
に、自分がこんなふうにマイナスの状況になっているのは、「周囲が
悪いからだ」と考えがちです。

「周囲が悪い。相手が悪い。環境が悪い」というのは、「私(A)
の目」から見てということです。しかしこれを、相手(B)の目から
見れば、「Aが悪い」というふうになり、どちらが悪いかは、正確に
はわからないところです。
(関係性でいえばお互いに影響を与え合っているので、一方だけが悪
いということはないでしょうね)

 それを「相手が、相手が」と、どんなに相手の悪いところを言い募っ
たとしても、解決はしません。
 どちらも「相手が悪い」と思っているのですから、どちらも相手に
承服したくないでしょう。
「悪人の相手が善人の私を承服させようとしている」
 と、AもBも思っています。

 Aはプラス1とマイナス1を持っています。
 Bはプラス2とマイナス2を持っています。
 Aは、Bのマイナス2を見て「お前が悪い」と思います。
 Bは、Aのマイナス1を見て「お前が悪い」と思います。

 見ているところがお互いに「相手のマイナス」だから、どちらも
「相手が悪い」と言いたくなるでしょう。

 ですから、見方によって「相手が悪い」のは、Aにとっても、Bに
とっても「正しい」のです。

 今の若貴兄弟のようなものですね。

 だから「自分が正しい、相手が正しくない」よりは、自分を基準に
してほしいのです。(つづく)