マイナス環境の中にいるとき(9)

前回、「具体性」の話をしました。

 けれども、この具体性そのもので、多くの人が、まだまだ大ざっぱ
です。
「小さなことにこだわるなんて、男らしくない」
 などと信じている人ほど、自分の言動パターンに気づかないために、
同じパターンで失敗していきます。

 この具体的というのは、「ある特定の一場面」を、映画の場面のよ
うに、もっと厳密に把握するということです。

 あなたは、ある一定の言動パターンで動いています。
 この一定のパターンは、あらゆる場面で、相似形のパターンをとり
ます。
 ですから、「ある特定の一場面」を切り取れば、その一場面の中に
も、あなたの一定の言動パターンが現れています。

 だから、一つの場面を切り取って、その中で、あなたの言動を、丁
寧に観ていったほうがいいのです。

 例えば、この例でいえば、「みんな」というのは、大ざっぱです。
 ある特定の場面で、「みんな」をもっと詳しくみてみれば、
 AさんとBさんと、Cさんがいました。
 これが具体性です。

 さらに具体的にみてみると、
 私はAさんが嫌い。相手も私を嫌っている。
 私は、Bさんは普通。
 私はCさんは、好き。Cさんも私に比較的好意的に接してくれる。

 あなたの「一定のパターン」を崩すためには、
 これまでのAさんに対する対応の仕方。
 Bさんに対する対応の仕方。
 Cさんに対する対応の仕方。
 これを今までのやり方と変えてみる。
 これが「具体性」です。

 さらにある一場面を、映画の場面のように細かく観ていくと、自分
のある「一定のパターン」が見えてきます。
 例えば、あなたはCさんと親しくしたいのに、Cさんが話しかけて
きても、緊張してしまいます。喋り下手で、嫌われるのではないかと
恐れるために、あなたは、よけい、言葉が出てきません。

 こんなとき、あなたは思い切ってCさんに、

「私は話すのが苦手だから、あまり気の利いた受け答えはできないけ
れども、話を聞くのは楽しいんだ」
 と言ってみました。

 これができれば、まず、あなた自身が楽になるでしょう。
 それは、「自分の弱さを認める」強さを実感するからです。
 これだけで、あなたは自分の「一定のパターン」を崩すことになる
のです。

 こんなふうに、具体的な一場面の中に、あなたの言動パターンが現
れています。
 ですから、自分の言動パターンを変えるには、具体的な場面を知る
ことが大事なのです。(つづく)