「捨てる」と「捨てられる」(後-4)

 例えば、あなたは今まで、相手が時間通りに現れなくても、じっと我慢して待っていた。すでにここで、被害者意識が生じる。

「意志を持って能動的に行動する」自分を育てるために、あなたは、この瞬間から、「待つのをやめる」と決めて、そう相手に宣言したとする。

 それでも相手は、約束を守らない。
 あなたは「待たない」と宣言した通り、意志を持ち、それを「能動的に実行する」。
 すると、微妙に、あなたの心に変化が出てくる。
 自分が「意志を持ち能動的に行動する」ことであなたは被害者ではなくなる。

 その瞬間から、あなたは、「私が相手にふさわしいかどうか」ではなく、「相手が私にふさわしいかどうか」という見方になる。
 ここで被害者から、「自分中心」に変化する。

 まず、自分のその行動そのものが、あなたの自己価値を高めるし、あなた自身が、その心地よさを実感できる。

 それで相手が変わる努力をすれば、あなたと相手との心の距離は近くなるだろう。
 反対に、以前として相手が変わらなければ、あなたと相手と心の距離は遠くなる。

 こんなふうに、あなたが意志を持ち、能動的に行動していったとしても、心の距離が縮まらないとしたら、「相手は私にふさわしくない人」といえるだろう。

 つまり、あなたが「行動する」ことは、相手があなたにふさわしいかどうかを判断するためだといえる。

 それを繰り返していけば、仮に別れたとき「捨てた」「捨てられた」ではなくて、「私自身が見切りをつけて別れた」となるだろう。