イメージの実感より感情の実感のほうが、エネルギーが強い

 前回のテーマとリンクさせて話をすると、物事を実現させるエネルギーは、
「右脳でイメージすることよりも、感情で体験として実感していることのほうが強い」

 その例を挙げてみましょう。

◇あなたは、物事を決めるとき、「感情」で決めるより、「思考」で決めようとします。多分あなたは、感情と思考の違いにも気づいていないでしょう。

「自分にとっていいことなんだろうか」
「これを選ぶことが、私の将来のためになるんだろうか」
「どれを選んだほうが、僕に有利なんだろうか」
「何をしたほうが、うまくいくんだろうか」

 あなたは、迷うばかりでなかなか決められません。迷った末に選んでも、仮に一つを決めたとしても、
「いや、もしかしたら、あっちのほうが」
 と、未練が残ります。

 あなたは、このすべてが「思考」であると、気づいていません。
 あなたは、自分の感情で決めようとしないので、迷いが出てくるのです。

 そしてあなたは、絶えず迷いを引きずるために、実現するのは「迷い」です。

 反対に、
「私は、〇〇が好きだから、これを選ぶ」
 と「感情を基準にした」選び方をしたら、どうでしょうか。
 仮に、それが選択ミスであっても、
「ま、自分が好きで選んだんだから」
 という割り切り方ができるのではないでしょうか。
 こちらのほうが、マイナス感情が尾を引かないので、物事も好転しやすくなるでしょう。

◇あなたは「理想の異性」「理想の職場」を、イメージで描きながら、心の中で待ち望みます。

 でも、あなたの中にあるイメージは、
「相手が自分に幸せを与えてくれて初めて、幸せになる」
「環境がすべて快適に整っている中で、仕事をしている」
 というイメージです。
 あなたの中にあるのは、「他者からもたらされた幸せや快適な環境」が前提になっています。

 その一方で、現実を見ると、
「私が不幸せなのは、あなたが私に幸せを与えてくれないからだ」
「私が仕事がうまくいかないのは、環境が悪いからだ」
 と思っています。

 あなたは、仕事も恋も、自分ばかりが貧乏くじを引かされると思って、惨めな気持ちになります。

 けれども、それは、あなたが「不平不満を抱くような見方ばかりをしている」からでした。

 職場では、相手の嫌なところばかりを見て、批判する。
 損得勘定で、自分の損するところばかりを拾って不満を抱く。
 恋人の欠点ばかりを拾って、苛立つ。

 あなたが実感しているのは「不平不満」です。

 そんなあなたが、とてもすてきな異性から恋の告白を受けました。
 誰が見ても、すてきと太鼓判の相手です。
 あなたは前の恋人と別れて、新しい恋人と付き合おう思いました。
「これで、幸せになれる」
 けれども、いざ、つき合いはじめると、あなたはこう思ってしまうのです。
「こんなすてきな人が、私を愛してくれるわけがない」
 もし友達に紹介したら、「あなたとなんて、不釣り合いよ」と言われるに、決まってる。

 そんなあなたが、新しい仕事に就きました。すべての条件において、有利です。イメージでは、あなたは、こんな職場でバリバリ働いてい
ます。それが実現しそうです。

 ところがあなたは、実際にそれが実現すると、
「みんな優秀そうな人たちばかりだ。こんな人たちに混じって、自分はやっていけるだろうか」
 と不安になります。
「期待に応える仕事をしなくちゃいけない。失敗は許されない」
 などと考えて、とてもこの会社では、やっていけそうにない気持ちになるのでした。
 
 結局、どっちに転んでも一緒です。
 それどころか、「他者からもたらされた幸せや快適な環境」をイメージして、その実現をじっと待っている限り、あなたは、前回書いているように、イメージの中の「理想」と「現実」とのギャップが大きくなって、よけい「不平不満」を募らせていくでしょう。

 こんなイメージよりも、あなたにとってもっと必要なのは、いまの生活の中で、「幸せや快適さを拾い集めて」それを“実感”することです。