言葉で勝つよりも、意識で勝とう

「相手と私」の関係が、関係性であることは、常々言っていることです。だから、
《私が変われば、相手も変わらざるを得ない。》

 これをもっと厳密に言えば、言葉や言葉の内容よりも、
《自分の“意識”が変わると、その結果として相手が変わる。》
 だから、話し上手でなくてもよいのです。

 あなたは、相手が嫌いだけれども、何も言えないでいます。
 でも、多分、相手が反省することはないでしょう。
 前回述べたように、「嫌いな相手の長所を探してみれば、相手が好きになるかも知れない」という方法にも無理があります。
 心から好きになれない相手に対して、自分の気持ちをごまかして、“好きなフリ”をしても無理があります。
 その人を目の前にして、プラスイメージする……もむずかしい。

 自分は主張できない。
 相手は反省しない。
 イメージも無理。
 じゃあ、一体どうすれば……!!

 メルマガの「読者の声 受信・発信」にメールを下さったN・Tさん。下記にご紹介しているHさん、Y・Yさん。こんな方法はいかがでしょうか。

 例えば、職場で、嫌いな相手に「早くもってこい」と言われたら、
「はい」と気持ち良く言うことはできるでしょうか。
 イヤミを言われながら「俺の言う通りにやれッ」と言われたら、
「わかりました」と答えてみましょう。
「ここが間違っている」と指摘されたとしたら、
「ええ、私も気がついています。いま、直そうと思っていたんです」
 と、同意の言葉を気持ちよく、言葉に出してみましょう。

(「嫌いな相手になんか、口が腐ってもそんなことは言いたくない?」
 としたら、また上記の振り出しにもどってしまいますよ。)

「相手の反応に注目しない」というのがポイントです。
 仮に相手があなたに悪意を抱いているとしても、あなたは、自分のほうに関心を向けて、あなたが「気持ちよい言葉の響きで答えられるかどうか」が、重要なのです。

(1)
 あなたはふてくされた態度で横を向き、視線を逸らせて、心の中でつぶやきます。あるいは、聞こえよがしに言います。
「なんだよ、あいつは、いつもうるさく言ってきやがって」

(2)
 あなたは、相手と視線をちゃんと合わせて向き合って、気持ち良い言葉の響きで答えます。
「はい、わかりました。やります」

 文章ではわかりにくいのですが、
(1)は、言葉で勝っても、意識で負けています。
 自分の気分や感覚のほうに焦点を当てると、決してあなたは、相手に勝っているような気分にはなっていないはずです。
 実際、客観的にその姿を見ると、卑屈な態度で、虚勢を張っているとわかります。その姿は、決して強いとは映らないでしょう。
 こんな卑屈な態度になっていないでしょうか。
 あるいは、あなたは、逃げるような態度、避けるような態度をとっていないでしょうか。そうすればするほど、相手は「あなたに突っ込みたくなります」。

(2)は、相手の要求を受け入れてるので、言葉では負けています。
 けれども、意識では勝っています。

 N・Tさん。「意識で勝つ」気持ちで、職場の嫌な人が、あなたにお節介を焼いてきても、
「これは、僕がやります」
 と言ってみましょう。
 何度言われたとしても、
「そうですか。でも、僕は自分のやり方でやります」

 嫌な相手には、「意識で勝って」ください。
 別に相手と争わなくても、あなたが「意識で勝った」態度で答えることができれば、それだけで「関係性」は変わります。一度でダメで
も、「自分の価値を高める」ために、繰り返しやってみてください。
 微妙に、相手の態度が変わります。