即効性ワークでのハプニング

 「即効性ワーク」では実にいろいろなことが起こる。
 それも参加者のニーズにあった出来事、学びの出来事が起こる。
(ご本人の了解を得ています。)

 セミナーの途中で、ある女性の方に一本の電話が入った。
 その電話によって、その女性がパニックに陥った。

 内容はお話できないが、その人を抱き抱えると、すさまじい恐怖が私に伝わってきた。彼女は、身動きできなくなった。

 当然のことながら、セミナーは中断。
 
 彼女を支えてどうにかタクシーに乗せて送り出したものの、その緊迫感は、事務所内の皆さんにも伝わっていた。

 私の中にも、彼女の驚愕の感覚が残っている……。

 自分をセミナーモードにもどすために、五分ほど休憩をいただいたものの、表現できない雰囲気が漂っている。

 しばらくしてから、電話が鳴った。
 彼女からだった。
 彼女の声はすでに落ち着いていて、何事もなかったと。

 それを参加者の方々に伝えたとき、
「ホーッ~」
 と、どよめきにも似た安堵の声なき声が一斉に上がった。

 私には、この「安堵のため息」が、最も嬉しかった。
 いま思い返しても、温かい気持ちが湧き上がる。
 この安堵のどよめきは、まさに参加者の方々の、愛であり優しさの証しだった。
 大げさに聞こえるかも知れないけれども、一瞬のこの「ホーッ~」に、私は無限の愛を感じた。
 これを読者の皆さんにお伝えしたかった。

 翌日、受講者の方々に迷惑をかけたこと、茫然自失となってしまったことを恥じ、恐縮して自分を責める彼女に、そのことを伝えた。
 彼女は、大粒の涙を流しながら、
「皆さんの温かさを感じる。皆さんに、応援されているように感じる」
 と。
 
 あのハプニングについて、皆さん、それぞれの受け止め方をされただろう。
 
 私はこのハプニングで、
「ねっ。あなた(大切な人)が、そこに存在するだけで、すばらしい。あなたが私のそばにいる。それだけで、私は嬉しい、だよね」
 と言いたくなった。
 そして、
「あなたを、信頼する。あなたの力を信じる」
 と。

 とかく多くの人が、相手を、子供を、自分の理想とする鋳型に押し込めようとして、過剰に期待したり、責めたり、あれこれと悩んだりする。
 この、あまりにも奇妙な(偶然といいがたい)連鎖で起こったハプニングは、そんな“支配”にシグナルを発してくれたと、私は解釈したい。
 ちょうどそのとき即効性ワークは、「4章」をやっていた。

 参加者の皆さん、ご迷惑をおかけしました。
 そして、温かい心、ほんとうに、ありがとうございました。