犠牲者の損する犠牲癖(2)

 感情を抑えた脳幹タイプは、感情に鈍感である。

「感情に鈍感だと、傷つかないから、いいじゃないか」と考える人もいるかも知れない。

 けれどもそれは逆である。

 まず、感情を抑えていると、自分の恐怖すら、感じない。
 “無意識”は感じていても、自覚にのぼらないということだ。

 気づいていても、「たいしたことはない」という感覚だから、そこに踏ん張ろうとする。

 我慢力、忍耐力があるのでかえって、状況が悪くなっても、まだ、踏ん張っている。

 気づいたときは最悪の中にいて、(自覚のない恐怖に脅えながら)フリーズしてしまう。

 感情を抑えた脳幹タイプは、男性に多い。
 恐怖心をあおられて、その恐れから、金品を巻き上げられるというふうに、感情を抑えていると、引き時、潮時がわからない。

 だから、騙されたと気づかなかったり、気づいたときには、とても大きな損失をしている、と言った具合である。

 例えば、脳幹タイプの犠牲者Kさんが、居酒屋を開いた。

 店に友人がやってきた。
 犠牲者タイプのKさんは、友人に過剰にサービスをする。場合によっては、ツケで飲み食いさせてやって、そのツケすら請求できない。

 あるとき、Kさんの友人が、居酒屋を開いた。
 Kさんは、早速、お祝いにかけるつける。

 Kさんは、開店祝いに、過分の御祝儀を渡す。
 その店の常連になる。
 常連ということで、逆に特別扱いされるより、店を無償で手伝ったり、他の客の後回しになっても、文句も言わない。

 時には、お釣りを受けとらなかったり、請求額よりも多めに払うこともある。
 
 たまにKさんは、ボランティアをする。
 ボランティアとして、ある場所に派遣されるとき、交通費は支給される。

 けれども、Kさんは、その交通費すら、請求できない。

 犠牲者は、自分の価値を低くみているから、自分がそうすることが正当なときにすら、罪悪感に駆られる。

 これをお金に重ねると、儲けることにすら罪悪感を覚える。

 だからこんなふるまいをするのだ。

 こんなふうに、脳幹タイプの犠牲者タイプは、どんな立場になっても、自分の懐から、お金を出そうとする。
 脳幹タイプの犠牲者で、もし、いつまでたっても、貧乏から脱出することができないでいるとしたら、こういった意識に気づいてほしいものである。(終わり)