カウンセリングでは変わらないと信じている人たち(1)

「カウンセリングなんかを受けても、変わらない」
 と本気で信じ込んでる人が少なくない。

 少し受けて、ちょっと楽になる。
 けれども、また、相変わらずの自分にもどる。

「また、もとに戻った。やっぱり……」

 これ以上、変わらないのではないか、との思いが脳裏をよぎる。
 何度受けても、すぐに元にもどってしまうのではないかと、疑いはじめる。

 自分の思考の癖として、また、同じ思考パターンをしはじめる。

 はっきり言うと、その「思考パターン」は、変わらない。
 だから、その思考パターンが変わることを期待しないでほしい。

 こんなとき頭の中で望んでいるのは、「この悩みから」の全面的解放であるだろう。
 この『悩みからの全面的解放』が、すでに、不適切な思考だと言える。

 それが、スッキリとすべてなくなるなんて、あり得ない。

なくなるのではなくて、振幅の幅が小さくなっていく。
 切り替えるのが早くなる。
 尾を引く時間が短くなる。
 それにとらわれる時間が少なくなっていく。
 といったことであって、自分が「今、いやがっているそれ」を消すことはできない。

 だから、「この思考パターン」が自分自身なのだと認めてほしい。

 というより、無意識の視点からすれば、それは必要なものだから、消そうなどと発想すること自体、無謀な話である。

 とはいえ、それは、ある面、無理もないと思う。

 なぜなら、「多少楽になった」止まりで、それ以上続けようとしないのには、それなりの大きな理由があるからである。(つづく)