「イチローインタビュー」より 1 

 先日、6年周期リズム診断の勉強会を行った。
 勉強会に当たって、改めて、イチローさんに関する資料を読んだ。
 リズムとしては、彼も同様に、6年周期リズム通りの流れになっている。

 彼にとって、もっとも苦しかったのは、愛工大名電高校時代だったらしい。
 彼の高校時代はまさに、彼の年浄化期だった。

 彼のこの高校時代を覗いても、やっぱり彼の「ライフスタイル」が出ている。

 当時の中村監督は、
「これから先の人生においても、これほど厳しい経験はしないはずだ」
 寮生活が始まってから、彼はその言葉を実感した。
「あれ以上苦しいことは、今までのところ、ないですね」

 高校時代、一度だけ、父親に「野球を辞めたい」と漏らしたことがあった。
(野球を辞めたいというより、組織のルール、あり方がつらい、ということだろうが。)

 ともかくも、寮生活はこんなふうだった。
 厳しい練習が終わって夕食が終わる。その後が自由時間で、午後11時が消灯。
 自由時間といっても、その間に、下級生は、上級生のものを洗濯して乾燥機にかけるなど上級生の世話をする役割があるため、自由時間が削られてしまう。

 こういった役割をこなすために、自由時間は、同級生と順番を争うことになる。
 彼は、こんな争いもイヤだった。

 そこで彼は、どうしたか?

 多くの人は、こんな毎日に不満を抱いたり、人によっては、そんなシステムを批判して、野球をやるよりも、そんなやり方に反発することにエネルギーを費やす人もいるだろう。
 エネルギーという点においては、これだけで、自分の実力は、はなはだしく減少する。まさに他者中心の充実の仕方だといえる。

 その環境は、「自分が選択した」こととして、その環境を受け入れる。
 それを前提とする。義務ではなくて、自分自身が選択したという自覚を持っている。
 これは、流れに乗る方法だ。

 彼の目標は「野球の練習をする時間を確保する」である。
 その目標からずれない。
 これは、自分の能力を最大限に発揮する方法だ。

 同級生と争うのは、イヤ。
 多くの人が、争いの中に、身を投じようとする。
「相手に勝つ」をめざす。
「相手に勝つ」ために注ぐエネルギーは、とてつもなく膨大だ。
 これに費やせば費やすほど、自分の能力を活かすエネルギーは、少なくなっている。

 人によっては、「争いに勝つ」が人生の目標になっている人もいる。

 一見、「争いに勝たなければ、損する」ように感じるだろう。
 でも、ほんとうに、そうだろうか?

「争いに勝つ」が目標になれば、“争う”ことが無意識の生きがいとなるので、当然のことながら、愛も、お金も、経済的豊かさも、仕事も、能力も逃げていく。
 無意識に、他のものは犠牲にしてでも、“争い”が人生の最大の目標になるためだ。
 だから“争う”状況は、常にゲットできる。

 ところが彼は、最初から、「争わない」を選択できる。

 では、これらの条件を満たすために、彼は、どうしたか? (つづく)