真の目的に気付こう
「私がAについて悩んでいる」とき、実は、自分にとって問題なのはAではなく、無意識には、別の目標をもっているのかも知れない。
例えば、
「私が出かけようとして玄関に立つと、決まって母親が“あっ、昨日買ってきてくれた〇〇はどうすればいいんだったっけ?”などと話しかけてくるんですね。
いま出かけようというときに、そんな話をと、とイライラするんですが、やめてくれないんです。だから、もう、朝から不愉快な気持ちで会社に行くことがたびたびなんです」
こんなとき、母親は、決してその問題の解決を目的として話しかけているのではない。
もろもろの自覚ない理由から、出かける間際に子供に話しかけると、反応してくれる、ということを学習している。
だから、こんなパターンでのコミュニケーションを学習している母親に、子供が反応し続ければ、永遠にそのパターンは続くだろう。
こんな母親のように、自分では、「〇〇の問題を解決するために、相手に話しかけている」と思っている。
けれども目的となっているのは「そんなパターンでの、相手との関わり」である。
多くの人が、また、多くの場合が、問題解決よりも、そんな方法で相手と関わることが目的となっている。
心が自由になっていないと、相手の真の目的に気付かずに、「相手の言葉」を真に受けて、相手の要求に応えようと努力する。
けれども、そんな努力は実らない。自分の努力を評価してもらえずに、失望することも少なくないだろう。
そんな真の目的に気付かずに、相手の期待や要求に一生懸命応えようとして、苦しんだ人もいるはずだ。
けれども相手からすれば、当然のことである。
なにしろ、相手は、問題解決を求めているわけではないからだ。
むしろ、問題解決してもらったら、困る!
だから、仮に一つ解決すれば、また、感情レベルでの関わりを目的として、問題を作り出す。
相手がそうなのか、自分がそうなのか。
自分も同じ意識でそれをしているかも知れないことに、気付いてほしい。
こんな感情レベルでのマイナスのコミュニケーションをすればするほど、本当の問題は悪化しながら、感情レベルではどんどんもつれて、マイナスで抱き合う橋田壽賀子さんの世界となる(というふうに、“真の目的”は達成される。つまり、願いは叶う)。