親も自分を優先する 2

 親が子供に「自分を大事にする」ことを教えたければ、まず「親が自分を優先する」ことです。それを、子供の前で「親が自分自身を大事にする方法」を実践して、その姿を見せることなのです。  

 子供中心(他者中心)にならずに、
親が、自分の気持ちを大事にする。
 親が、自分の意志を大事にする。
 親が自分を優先する。

 もちろん、
 親は、子供の気持ちを大事にする。
 親は、子供の意志を大事にする。
 そして、親子のコミュニケーションを大事にすることです。(プラスのコミュニケーションについては、PHP研究所の「私が話したくなる話し方」をご覧ください。)

 ここで私が「親が自分を優先する」と書くと、何が何でも自分を通すことが優先するというイメージをもつ人が少なくないと思います。
 この「自分を優先する」ということが、どうも、文章では伝わりにくいところです。
                            
 たとえば、子供が、
「〇〇したいから、すぐきてよ」
 と母親を呼んだとします。
 母親はすぐに、自分がしていることをやめて、飛んで行きます。
 あるいは、苛立ったり、不機嫌そうな顔をして、
「いま、忙しいのッ!」
 などと叫んで、自分のしていることをやめないでいると、子供がそばにきて、
「ねえ、やって、やってよお」
「いま、忙しいって言ったじゃないの!」
 などと、感情的な押し問答がはじまります。
 すでにこれが「マイナスのコミュニケーション」になっています。
 こんなやり方をしていれば、どんどん「マイナスのコミュニケーション」がエスカレートしていくでしょう。

 母親がこんなやり方をしているとしたら、それは、どこの場面でもやっているでしょう。とりわけ、夫との関係で。(男と女の関係については、ソフトバンクの「人に流されない人ほど上手くいく」をご覧ください。)

 こんな時、母親が、自分を優先するとしたら、まず、自分がやっていることを心から、
「私はこれをしたい。だから、これを優先していいんだ」
 と認めることです。
 母親ではなく、妻でもなく「自分自身として」です。

 自分を認めると、どういうことが起こるでしょうか。
 自分を認めて、自分を優先することを心から認められれば、
「何度言ったらわかるのよ。お母さんは、いま、忙しいって言ったでしょう」
 という言い方にはなりません。

 自分がそうすることを認める。
 自分を優先することを、自分が認める。
 これができれば、しっかりと子供と向き合おうという気持ちが湧いてきます。
 これが重要なんです。 
 子供と向き合おうという気持ちになると、どうなるか。次の展開が、まるっきり、変わってくるのです。(つづく)