親も自分を優先する 3

 母親自身も、自分がそうすることを認める。
 自分を優先することを、自分が認める。
 自分の感情を基準にする。

 これができると、子供と向き合う余裕が出てきます。
 向き合う余裕が出てくると、自分の気持ちがしっかりと見えてきます。

「他者中心」になっていると、
「どうして、そんなにわがまま言うのよ。今、忙しいって言ってるじゃないの。それぐらい、ひとりで出来なくて、どうするの」
 などと、子供が「私の邪魔をする」点しか見えないでしょう。

 けれども、自分を優先することを自分が認めると、子供と向き合うことができます。

 向き合うことができると、何が見えてくるのでしょうか。

 それは、まず、
「あなたを愛しているから、あなたの希望を叶えてあげたい気持ちもたくさん持っています」
 といった、自分の子供に対する愛情に、改めて気づくでしょう。
「あなたと一緒に過ごす時間も大事にしたいと心から思います」
 さらに、
「と同時に、私は私も大事にしたいのです」
 という気持ちにも気づきます。
 だから、
「いま、すぐに、あなたの希望に添うことはできません」
 けれども、
「いま、やっている、これが終わったら、できます。だから、1時間だけ待ってほしいんです」
 といったふうに、自分の諸々の気持ちが見えてくるでしょう。 

 子供と向き合う余裕ができれば、こんなさまざまな気持ちを、相手に伝えることができるでしょう。

 同じ内容を言葉で伝えるとき、「他者中心」の言い方をすると、「マイナスの関わり方」で争いになっていくでしょう。
 他方、「自分中心」の言い方をすると、まず、自分自身が満足します。
 結果として、子供も満足します。
 争って勝たなくても、互いに満足する言い方があるのです。それを自分中心心理学では「自分表現」と言っています。

 私自身の満足度が高い。
 私自身が楽になる。
 相手と「プラスの関わり方」ができる。
 結果として、勝つ可能性が高くなる。

「もっとあなたが話したくなる話し方」(PHP研究所)では、こんな自分表現の仕方を満載しています。

 相手と争う自己主張は必要ありません。
 相手も私も傷つかない。
 自分を守ることができる。
 争わない、相手を恐れないで済む。
 こんな「自分表現」方法があるのです。(おわり)