“我慢”がつらい人生になる理由 1

 我慢していると、自分の人生をつらいほうへと導いていきます。
 我慢強い人ほど、厳しい人生やつらい人生になっているはずです。

 なぜなら、我慢強いということは、「打たれ強い」ということです。

 例えば、あなたに殴り掛かってくる人がいるとします。
 我慢強いあなたは、10発殴られても、我慢することができるでしょう。
 あなたが平気な顔をしていると、相手はもっと、あなたに挑み掛かりたくなるでしょう。

 打たれ強くなっていると、殴られるのが慣れっこになっていて、痛みに鈍感になってしまっているかも知れません。
 そのために、あなたはさらに殴られても、そこを動こうとしません。

 昔の軍隊式や、スパルタ教育がそうですね。

 そんな親子関係だった人は、そこまで殴られても「逃げること」を知りません。
 “危険を避ける”ことを“逃げる”と解釈するので、その危険から逃れて安全を確保するより、動かないでじっと耐えようとします。

 しかもそのとき、あなたは我慢しながら、反抗的な目をしていたり、復讐的な目をしているので、相手をいっそう逆上させて、いっそう自分を厳しい状況に追い込むというふうに、自ら災いを招いているのに、自分では、それに気づかないのです。

 それでもあなたは、そこから去ることはできないでしょう。
 なぜなら、そんなふうに「殴り合う関係」あるいは「殴る人と殴られる人との関係」は、依存関係だからです。
 依存し合っていて、自立するのが怖いからです。

 こんなふうに、「私と相手」の間の距離が近い関係ほど、くっつきながら傷つけ合う関係を築いていくのです。

 さらに、そんな危険に慣れていると、自ら、危険な道を歩こうとします。人にとっては明らかに危険な道であっても、その人にとっては、「危険な道」とは見えないからです。

 だから「我慢」は、自立から遠ざかっていくためにますます我慢して、厳しい人生となっていくのです。

 「我慢」というのは、人のための我慢だけではありません。
 多くの人が、知らずのうちに、別の形で「我慢のループ」にからまっているかも知れません。(つづく)