何をやってもうまくいかない

 どんなに足掻いても、頑張ってもうまくいかない。何をやってもうまくいかない。
 誰もが一生のうちに一度は、こんな体験があるかも知れません。
「いや、一生に一度どころか、いつもそうだよ」
 と言いたくなる人もいるかも知れません。
 もしあなたがそうだとしたら、あなたの根底の意識のどこかが間違っています。

 もちろんあなたには、その間違いが見えていません。

 にもかかわらず「うまくいかないパターン」の人は、なんとかそこから脱出しようともがきがちです。 そのために、いっそうぬかるみにはまって動けなくなっていきます。

「うまくいくパターン」の人は、少なくとも、そんな状態に陥ったときは、無理に抵抗しません。
「何をやってもうまくいかない」と感じている心理状態のときは、足掻いても、うまくいかないと知っているからです。

 この状態を無意識の視点でみると、あなたが「何をやってもうまくいかない」のは、あなた自身が、「うまくいったら困る」と思っているからです。

 その一つが「責任の重さ」です。

 あまりにも責任を過剰に考えている人は、「うまくいったら、責任が重くなって、その重圧に耐えきれない」と思ってしまいます。その重圧に恐れを抱けば、無意識に「うまくいかない」ほうへと、自分を導いていきます。

 「うまくいく」というのは、継続的にうまくいっている状態、ということです。あなたが過剰に責任をとってしまうタイプだとしたら、
「ずっと、継続的にうまくいく状態を保ち続けるのは、とても無理だ」
 と思ってしまうでしょう。そんな重圧に耐えていかなければならないのだったら、いっそ、最初からうまくいかないほうが、まだラクだと思ってしまうのです。
 
 あなたの無意識は、あなたのそんな「ラクになりたい」ほうの願いを叶えてくれます。つまり「責任を負う」その負担から、あなたを回避させてくれるのです。

 ですから、「うまくいかないとき」は、自分が何を恐れているかを探ってみましょう。自分の心に焦点を当てれば、わかるはずです。
 このケースの場合は、自分が「責任を過剰に捉えている」ことを整理して、適切な責任の取り方を知って安心することができれば、自分の意識が「うまくいく」ことにオーケーを出すことができるのです。

 個人だけではありません。
 あなたはやる気があっても、その状況がなかなか動かないとしたら、それは、あなたの周囲が無意識のところで、あなたのやろうとしていることに同意をしていないからです。

 たとえば会社で、社長のあなたが新しい事業を展開しようとしました。けれども、それが思うように進展しないとしたら、まだ周囲が、それに無意識に抵抗を示しているからだと言えるでしょう。
 つまり、それを導入するには、まだ時期尚早だということです。

 こんなとき、どんなにあなたが流れを変えようと悪戦苦闘しても無駄です。それよりも「ジタバタもがいても無理だ」と覚悟して、その流れに身を任せたほうが賢明でしょう。

 とはいっても、それは「諦めて、なにもしない」ということではありません。すぐに実現させるのを諦めて、その目標に向かって「今、自分ができること」をすることです。
 その継続的な努力が、動かない状況を打破するために優れた方法です。