それをしているときの実感 1 

 どこも不況で、売り上げが伸びないという嘆きだけでなく、維持するのも困難で、縮小しなければならない、閉鎖しなければならない、といった声を聞きます。

 事業をどう展開させるか、アイデアや企画を考えているとき、どんな実感をしてそれを考えているかは重要です。

 もしあなたが、目先のことを追って企画を立てようとしたら、自分の中に焦りを覚えるでしょう。

 焦りというのは、どんなことをあらわしているでしょうか。
 例えば、
「いま、うまくいっていないので、急いで何とかしなければならない」
 という思いがあるとしたら、感情のレベルで実感しているのは“いま、うまくいっていない”という実感でしょう。

 もし、そんな実感を抱きながら、新しいアイデアや企画を考えているとしたら、「いま、すぐに何とかしなければならない」という気持ちになるでしょう。

 そんな気持ちを土台にすると、どんなアイデアが浮かぶでしょうか。
 今すぐ、形になるもの。今すぐ、お金になるもの。

 結局それは、“付け焼刃だったり、急場しのぎ”の企画ではないでしょうか。

 けれどもこんな“付け焼刃だったり、急場しのぎ”の企画は、所詮、目先のものでしかないので、すぐに終わってしまいます。
 終わってしまえば、また、スタートにもどります。

 もちろんそのスタートは、「うまくいっていない」という焦りです。
 しかもこんどは、「まだ、うまくいっていない」と、最初の焦りに、新しい焦りがプラスされます。

 つまり「急場しのぎで何とかしよう」では、いつまで経っても「何とかしよう」の状況しかやってこないのです。 (つづく)