「成功して失敗する」パターン

 お金の循環は、血液の循環でもあり、人間関係の循環でもあり、人生の循環でもあるといえます。どれを取り上げても、そのパターンは似通っています。
 なぜでしょうか。

 それは、自分にその基本となる「ひな形」があって、そのパターンがお金に表れたり、人間関係に表れたりしているからです。それだけではありません。そのパターンが、ライフスタイルそのものだったりもするのです。

 たとえば、戦中戦後生まれの高齢者は、食糧難の時代を体験しています。
「うちの親は、食べ物でもがらくたでも何でもとっておく。もったいない、もったいないが口癖で、部屋の中はがらくたで足の踏み場もないし、食べ物だって、結局腐らせてしまうんだから、こっちのほうが、よっぽどもったいないよ」
 と子供たちは嘆きます。

 生きていくのが精一杯の時代だったので当たり前ですが、これは「溜めて流さない」パターンです。

 それがお金に表れると、「せっせと小金を貯めて、使わない(流さない)」となるでしょう。結局、一生懸命貯めたお金は、自分では使わずに、子供に残す(腐らせる)というパターンになりがちです。

 こんな例もあります。

 昭和後期のある超大物政治家は、当時の国民にとっては、ヒーロー的な存在でした。独特の声と風貌で大衆を魅了し、ツボを心得た演説で、人の心をつかんで離さない緩急自在な語りっぷりにも定評がありました。

 その人脈も当時、最大の派閥として知られ、人の心をお金でつかむ「飴と鞭」政策で、その数の多さや華やかさから軍団と称されるほどでした。(ウキィペディア参照)。
 結局、国際的リベート疑惑が起こって金満・金権政治とマスコミから叩かれて、その地位から急降下で失墜していきました。

 これが典型的な「成功して失敗する」パターンです。
 
 話し方も人脈もお金の使い方もそうであるように、この超大物政治家の人生のひな形は“緩急”です。

 彼の毀誉褒貶は別にして、これを人生に重ねると、上下の波が激しい波瀾万丈の「成功して失敗する」パターンとなるのです。

 血液の循環も、まさに彼の“緩急”を象徴しています。
 言葉を溜めて頭ごなしに怒鳴ったり、耳元でささやくように言ったり、冷徹に脅したかと思えば急にやさしくなったりということをしていれば、血液もそれに即して、血管が膨れたり、溜まって澱んだり、いき
なりどっと圧し出されたりするでしょう。   
 その血液の流れ通りに彼は脳梗塞で倒れ、名実ともに政治活動は不可能となったのです。
 本人はお気の毒でしたが、偶然ではありません。

 あなたの「お金持ち」イメージが、このように「成功して失敗する」パターンになっていないかどうかを点検してみてください。

 もしあなたが、無理をしたり我慢したり、歯を食いしばって苦労しながら蓄財に励んでいるとしたら、それは「成功して失敗する」パターンであるかもしれません。
 どうせお金持ちをめざすのなら、心も生活も豊かで潤いのあるお金持ちになりましょう。