二度と犠牲にならないという決断からの選択
大きな問題を抱えているときは、Aを選んでも苦しい。Bを選んでも苦しい。Cを選んでも苦しいというふうに、どんな選択をしても、苦しい状況に追い詰められることがあります。
「どうして、こんなことになってしまったのだろう」
「これまでは、そんなに大きい出来事もなく過ごしてきたのに」
「いままで、こんなにひどいことになったりはしなかったのに」
しかも、そんな状況が「青天の霹靂」のように、いきなり襲って来る、というふうに自分に見えるとしたら、それは、あなたが、自分を気づかずに大事にしてこなかったからでしょう。
もしかしたら、それはあなたの相手を気遣うやさしさかも知れません。
自分より相手を大事にしても、自分は耐えられるほどの強さがあるからかも知れません。
とりわけ忍耐強い人は、自分が傷つけられても、それに耐えられるほどの強靱さがあるために、かえって、傷つけられていると気づきません。相手との関係で言えば、相手の横暴な態度や行動も、許してしまいがちです。
自分が傷つけられていると気づかない人が少なくありません。
そんな人は、もっともっと「選択の責任」を自覚する必要があるでしょう。
とりわけ、相手が私の領域に無断で入ってきていないか。それを許していないかどうか。
酷い言葉を浴びせられたり、酷い仕打ちをされたりしていないか。
傷つけられることに、鈍感になっていないかどうか。
もっと自分を労ることに繊細になりましょう。
寂しい気持ちを抱えていたり、人にすがりたい、甘えたいというような欲求を強く抱いていると、ついつい、今、手にしているものを離したくなくて耐えるほうを選びがちです。
耐えてしがみついているものを死守しようとすれば、苦しい。
しがみついているものを手放しても、違った苦しみが襲ってくる。
どれを選択しても、苦しいのは変わらない。
としたら、あなたにしてほしいのは、
「自分を犠牲にしながらしがみついているものを、手放す」
という選択です。
なぜなら、いまあなたが経験しているつらい状況は、あなたが自分を犠牲にしているからこそ、起こっているからです。
自分を犠牲にしたままでの選択では、Aを選ぼうがBを選ぼうがCを選ぼうが、多少質は違えども、同等の苦しみを体験することになるでしょう。
だからこそ、そういうふうに追い詰められてしまうあなたに最も必要なのは、「二度と犠牲にならない」という決断から出る選択なのです。