これも思い込み
一日一食を実践している人がいる。
実践して、もう一ヶ月以上になるのではなかろうか。
急にまた、どうして一日一食に?
「一日一食でいい」という本の宣伝を見て、その本を店頭で覗いて、実践する気になったのだそうだ。
お腹が空いていたほうが健康でいられるという本もあるらしい。
私自身も、満腹でいるよりも、空腹のほうが身体が軽い。
逆に、満腹まで食べると、苦しくなって拷問に等しいと思ってしまう。
自分では当たり前になっていることも、他の人にとっては新鮮だったりする。
そこに気づく着目眼に感心させられた。
私自身も、いまでこそ「自分中心心理学」などと名乗っているが、自分にとっては、それは生活の一部であって、特別のことではなかった。
だからそれが、「当たり前」だった。
話してみると、
「どうも、他の人は、違うらしい……」
自分が当たり前だと思い込んでいただけだ。
こんなことは、誰にでもあることではないだろうか。
自分にとっては当たり前。でも他人にとっては違う。
あなたがそこに気づけば、それが「自分のしたいこと」「したい仕事」のヒントになるかも知れない。
数週間で、その人は、みるみる痩せていった。
それ以外、スポーツなどの特別なことをしているわけではない。
急に痩せると、身体に悪い。
けれどもその人には、カウンセリングの際、痩せる話になったとき、
「健康に痩せる」を標語にして、
「目につくところに貼って、それを毎日見ることができるようにしましょう」
そうアドバイスをしていた。
三度三度、キチンとご飯を食べないと、健康に悪い。
これも思い込みかも知れない。
だったら、食事を減らしても、
「健康的に痩せる」
こんな思い込みがあってもいいはずだ。
その人から一日一食の話を聞き、その人が痩せていく姿を実際にこの目でみたとき、
「もともと二食でも平気だったけど、なあんだ、一食でもいいんだ」
と、妙に納得した。
それまでは「二食でも、痩せないもんだなあ」と思い込んでいた。
「二食にするから、栄養の吸収力が高まって、痩せないんだよ」
と主張する人もいる。
けれども、
「一食でいいのかあ。人間って、そんなに食べなくてもいいのかも知れないな。まったく食べないで生きている人もいるんだし」
こんな思いが腑に落ちた。
つまり、私がそう「思い込んだ」ということだ。
その思い込みがすぐに身体に表れて、私は一日一食を実践しているわけではないが、お腹の脂肪が、私も勝手に減ってきた。
きっとどこかで、
「食べなくちゃ、身体がもたない」
と思い込んでいたのだろう。
それが、
「なんだ、食べなくても、大丈夫だったんだ」
になったのだと思う。
(もちろん、「食べることが楽しみだ」という人が無理に回数を減らす必要はない。)
ありがちな思い込みは、
「どうせ、私は、お金に縁がない」
も。しかもこれなど、かなり強く実感している。
「つらいと感じるほど仕事をしないと、稼げない」
も思い込み。
こんな思い込みがあると、無意識に、それを目標に行動していく。
普段、自分は、どんな思い込みをしているか。
自分にとって有害な思い込みを外すためにも、自分中心になって“自分に気づく”ことを習慣化させたほうがいい。