自分の感情の結果も実験の結果も同じ

 マーケティング会社経営の小川さんが、通信メールでこんなことを書いていた。
 興味深いので、ご紹介させていただきます。

 ある実験がある。

 6種類の高級ジャムを
 サンプルでもらったグループと
 24種類の高級ジャムを
 サンプルでもらったグループ
 があった。

 この二つのグループがその後
 どれくらいの割合で
 サンプルでもらった
 ジャムを買ったか
 と言う実験なんだけど、
 結果が驚きだ・・・

 6種類のジャムを
 もらったグループは
 30%の人がその
 6種類の中からどれかを
 選んで購入にいたった。

 ところが24種類の
 ジャムをもらった
 グループはたったの
 3%しか、その24種類の
 中からどれかを選んで
 購入までいかなかった。

 普通は
 24種類ある方が
 たくさん選べて良いのに・・・
 と思うだろう。

 ところが現実は逆で、
 選択肢がたくさんあればある程、
 人間は混乱して
 結局どれも選べない・・・
 という状況になる。

 ゴールへの道が
 たったの3つしかなかったら
 どれか一つを取るしかない。

 結果、何らかの
 行動を取ることができる。

 ところがゴールへ
 道が300あったら、、、
 恐らく、どれが
 一番いいんだろう??
 と迷っている間に
 時間が過ぎ去って行く・・・

 ……………………………………

 これは、実際に実験データをとって得た情報でしょう。
 小川さんの文章を引用させていただいたのは、この情報と「自分中心」の発想と照らし合わせると、どうなるだろうかと思ったからです。

 あなたが「自分の感情を基準にして」サンプルの種類を決めるとしたら、どうでしょうか。

 6種類のサンプルを用意することと、24種類のサンプルを用意することと、どちらを負担に感じるでしょうか。
 もちろん、24種類ですね。

 自分中心的な発想で、“自分の負担”ということを考えれば、6種類のほうを選ぶでしょう。

 けれども、他者中心的な発想で、
「客が喜ぶに違いない」
 と考えて24種類を選べば、自分自身が負担に感じてしまうことを我慢することになります。

 実験の結果が、自分中心心理学の視点から捉えれば、「自分を大事にしたほうが売れて、自分を犠牲にしたほうは売れない」という結果と合致しているということになります。

 つまり、「私の心の中」と「相手の心の中」とで同じことが起こっているということです。

 日々確信することですが、カウンセリングの経験と照らし合わせても、
「自分の負担になること」は、「相手の負担にもなっている」というこの原理はほぼ真実です。

“ほぼ”という言い方をしたのは、自分の感情を感じる感度が鈍ければ、「自分の気持ち」イコール「相手の気持ち」とはならないからです。

 これは、「イコールではない」ということではなくて、自分の顕在意識ではそうイコールではないように映っても、無意識の領域では、まったく同じという意味です。

 自分の感情の感度が鈍ければ鈍いほど、「私の心」と「相手の心」との差が大きくなっていきます。差が大きくなっていくというのは、すばる舎の「距離感覚の本」でも書いているように、逆に、「くっついて争いが多くなる」ということなのです。

 会社という組織でいえば、「トラブルが多くなる」ということなのです。

 自分の感情に鈍感であっても、現象的には、
「私」と「相手」との間では、同じことが起こっています。

 この原理を知ってさえいれば、あとは「自分の感情の感度」を磨けばいいだけです。

 自分の無意識を知れば知るほど、私が述べていることの意味が、いっそう納得がいくのではないでしょうか。