決められる人、決められない人(1)

 どんな人にも「どちらを選択したほうがいいんだろうか」と迷うことがあるものです。
 仕事、結婚、転職、離婚といった大きな選択であれば尚更、なかなか決めることができないでしょう。

 ところであなたがもし過去にそんな大きな選択で迷ったことがある、あるいは、いま迷っているとしたら、自分がそうやって“迷ってしまう”のはどうしてだろうか、と考えたことはありませんか。

「どちらを選択しようか」と迷うことではなくて、そうやって「大きな選択をせざるを得ない状況になってしまって迷う」ということについて、です。

 まずあなたがいま、大きな選択で迷っているとしたら、例えばAがいいかBがいいか迷っているとしたら、それは、どちらを選択しても似たような結果となるでしょう。

 Aを選べば、あなたは、Bを選択したほうがよかったかも知れないと、後悔します。かといって、Bを選べば、Aを選択したほうがよかったかも知れないと悔やむでしょう。

 また、あなたがそんなふうに「迷ってなかなか決められない」としたら、あなたはAを選んでも、結局はBのような結果を招くでしょう。
 Bを選んでも、Aのような結果を招くでしょう。

 例えば、いま、あなたは仕事を「辞める。辞めない」で迷っているとします。

 もしあなたが、「辞めない」を選択すれば、「あのとき辞めていればよかった」と悔やむでしょう。
 そして何年か経ったとき、「いまはもう遅い。辞めることもできない」という気持ちで諦めていくかも知れません。

 結局、「辞めたい、辞めたい」という気持ちを抱きつつ、最後まで「辞めないで迷い続ける」ことになるかも知れません。

「辞めたい」気持ちがもっと募れば、もしかしたら、“解雇”という形で願いが叶うこともあり得ます。
 そのときは、「辞めてよかった」というよりは、「辞めさせられた」という被害者的な気持ちで解雇されたことを恨むかも知れません。辞めたいと思っていたにもかかわらず、です。

 あなたが迷いながら「辞める」を選択したとしたら、辞めた後で、
「あのとき辞めなければよかった」と後悔するでしょう。
 前の会社を思って「辞めなければ、いま頃は」と悔やみつつ、新しい会社にいてもまた、同様に「辞めたい、辞めたい」とつぶやきながら迷っているかも知れません。

 つまり、どっちを選択しても、結果にそれほどの違いは“ない”ということなのです。

 確かに仕事、結婚、転職、離婚といった大きな選択を決めるときは、誰でも迷うものでしょう。
 けれども、迷いながらもしっかりと決断できる人と、なかなか決断できずに、何年も何年もずっと迷い続ける人もいます。

 では、「決められる人」と「決められない人」との差は、どこにあるのでしょうか。 (つづく)