私の感じ方のほうが間違っていない

 中経出版の「仕事も人間関係も『すべて面倒くさい』と思ったとき読む本」が、発売から1ヶ月ほどして、同書の読者集計があがってきたことがありました。
 出版社の方が教えてくれることはほとんどないのですが、この担当の方は非常に熱心で、ありがたいことです。

 その結果をみたとき、私の予想と外れていたことが1,2点ありました。

 まず、30代、40代の女性が多かったというのは、予測できました。
 でもこれは、順位は2番でした。

 最も多かったのは、20代から30代の女性で、これは私にとっては軽い衝撃でした。
 なぜなら、20代、30代というのは「これから希望をもって未来を」という年齢です。

 この本は、私としては「いま、落ち込んでいる、うつっぽい。生きる気力が低くなっている」といった人たちへのメッセージのつもりで書いたからです。
 これから希望をもって生きようとする人たちにはそぐわないテーマです。

 いまの若い世代は、心が疲れている、ということですね。

 こんなデータ分析結果をお知らせするのは、
「ああ、そうなんだ。私だけじゃないんだ。みんな、同じように疲れているんだ」
 と、少しほっとしていただきたいからです。

 もちろん理想は、「他人のことよりも、自分自身に関心をもってほしい。人がどうあっても、自分を受け入れてほしい」です。

 けれども他者中心になって、つい自分と他者を比べてしまう人が、どんなに、「人と比べるのはやめよう」と自分に言い聞かせたとして、無理なところがあります。

 こんなとき、全体の状況を知ることで、全体の状況と自分を比べたとき、
「あ、なんだ。やっぱり、誰でも生きづらい世の中だと、感じているんだ。なんだ、私の感じ方は、適切だったんだ」
 というふうに、「自分を信じる助けにする」ことができれば、このデータが有益なものとなるでしょう。

 また、同書は、書くにあたって、どちらかと言えば男性を意識していました。私の感覚としては、女性よりも男性のほうが、より「追い詰められている」感が強かったからです。

 けれども男性数は、女性の5分の1ほどでした。
 また、年齢では40代前後の働き盛り層でした。
 この世代は、予測していましたが、男性はまだまだ「頑張れるまで頑張ろう」あるいは「頑張らなければならない」と思っているのかもしれません。

 全体的に、どんなに努力しても頑張っても、未来の展望が見えない。
 未来に希望が感じられない、そんなもやの中にいるような社会になってきているからでしょうか。

 こんな社会だからこそ、「私自身を認める。自分自身を愛する」ことからはじめてほしいと思います。

 最も大きな基本は、
「私の感じ方は間違っていなかった」
「私の感じ方のほうが、正しいんだ」

 こう自覚するだけで、相手や社会の規範に「自分を合わせなければならない」という囚われから解放されるに違いありません。
 もちろん、少しずつ、ですよ。