いますぐに変わりたい治りたい 2

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 確かにオールイズワンでも「すぐ変る即効性ワーク」を開催しています。これを実行できれば、すぐにでも楽になったり、人生の展開を好転的に変えることができます。このプログラム通りにシンプルに実行できれば、さまざまな共時性も味方についてくれるために、「偶然」ということがたくさん起こり始めるでしょう。

「偶然」とは言えない偶然が次々に起こって、自分の願った通りに後押ししてくれます。
 けれどもこれは、「実行してはじめてわかる」ことです。

 自分中心原理からすれば、理論的にはこのやり方が最短、最高だと、自負しています。

 一つは、自分中心の見方ができるために、他者を気にする分量がかなり減ります。
 後は、自分の気持ちを解消するため欲求を満たすためだけに、行動していく。
 それでもトラブルや摩擦は他の方法よりは、はるかに起こらないというプログラムですので、変化が大きいのは当たり前だと言えるでしょう。

 ただ、正直言うと、それは自分が「実行するかどうか」にかかっています。

 ところが、「すぐ変わりたい、すぐ楽になりたい」という気持ちでいっぱいになっている人たちは、それに囚われているために、「一つ一つの課題に取り組む」ことをしようとしません。

 新しい手法を学んでも、それを実行して実感するというよりは、それをやったからもう、終わったころにはすぐに変わっているはずだ、と期待をしているのではないかと思ってしまいます。

 それは、「英会話の本を読んだ」から、読み終えたときには、すぐに英語を堪能に喋ることができるはずだ、というようなものです。

「小説の書き方の本を読んだ」から、読み終えたときは、すぐに作家のように小説がスラスラと書けるようになっているはずだ。
 習字の書き方の基本を習ったから、すぐにうまくなるはずだ。こんなふうに要求しているようなものです。

 英語も小説も習字も形に見えます。
 だから、これらはレッスンしなければ上達しないということが理解できるでしょう。

 けれども、心は形に見えません。
 だから、すぐにでも変われると錯覚しているのかもしれません。

 もちろん、すぐ変わる人もたくさんいます。
 姿形は同じでも、まるで別人のようになった人も少なくありません。

 でもそういう人は、急がない人たちです。
 一つ一つを、丁寧にやっていこうと決心できている人たちです。

 例えば英語を毎日、10分だけでもコンスタントにやり続ければ、かなり上達するでしょう。
「すぐ変わりたい。すぐ治りたい」と焦ったり不安を抱いたりしながら「すぐに」という望み方をしない人たちです。

 心だけでなく、病気もそうです。

「すぐに、治りたい。すぐに健康になりたい」
 体調が悪い人ほど、そんな気持ちになるでしょう。痛みがあれば、尚更「いますぐに」と思うのも無理ありません。

 けれども、「いますぐに」と言いたくなるほどつらくなったのは、どうしてでしょうか。
 そうなるまで、自分が動こうとしなかったからではないでしょうか。

 つまり、「いますぐに」と言いたくなるほど、簡単に言うと“したくない”にもかかわらず我慢しながら、自分を酷使してきたからではないでしょうか。

「いますぐに変わりたい、治りたい」と思ってしまう状態になるまで自分を追い詰めていってしまう意識が、まさに、その「いますぐに」の意識です。

「すぐ変わりたい。すぐ変わりたい。すぐ変わりたい」
 こんなふうに言うと、どんな気持ちになるでしょうか。
 声に出してみると、自分がどんな気持ちになっているかがわかるはずです。

 焦るような不安になるような、でも、とても無理と諦めている、こんな矛盾した気持ちを抱えていませんか。

 そんな人たちは、日常生活も、「いますぐに結果を出したい」という気持ちを抱きながら過ごしているはずです。
 いえ、「結果を出したい」というより、「なかなか、結果が出ない」と焦ったり不安を抱いたりしているはずです。

 こんな仕事に取り組んだ。
 いますぐに、結果を出さなければならない。
 こんな勉強をした。
 すぐに結果を出さなければならない。

 でも、なかなか結果が出ない。

 努力する前から、半ば諦めている感じもします。

 だからこそ、「すぐに」と思う人ほど、なかなか動きません。

 よさそうだと思っても、
「これは、すぐに結果が出るだろうか」
 などと思ったり、ずっと思案するだけで、なかなか動こうとしません。

 ずるずると、日にちを伸ばす。そして心の中で「すぐに、すぐに」と言いながら、でも効果がなかったらどうしよう、などと心の中は、ぐずぐずと燻っています。

「すぐに」と発想する人ほど、心の中は「ぐずぐず、ずるずる」と延ばしに延ばして、ギリギリまで悩みます。

 それで締め切りが迫ったときに急いで応募するように、ギリギリの果てに「いますぐに」に応募しようとします。

 しかも、そうやって、「いますぐに」と思う人は、一回やっただけで、「これはダメだ」と諦めがちです。

 だから、「すぐに効果がない」ものは、すぐに諦める。
 一回試してだめだったら、「すぐに諦める」。

 もちろん、行動するというのは、自分ができるところからなのですが、「できるところから」という発想では、「いますぐに」が果たせないので、動きません。

「いますぐ一気にやろう」として、一回で「いますぐ諦める」というパターンを繰り返しているのです。

 こんなふうに、
「いま、すぐに変わりたい。すぐに楽になりたい」
 と思う人は、自分の言動パターンそのものが「いますぐ」の動きをしているために、その「いますぐ」と思ってしまうほどに、追い詰められるような状況を、自らつくっていきます。

 ですから「いますぐ」と思う人は、その「いますぐ」を諦めて、「できるところから、できる範囲で、継続的に、ゆっくりとやっていこう」と決断することでしか、その「いますぐ」の苦しみから解放されることはないでしょう。 (おわり)