自己分析しても役に立たない?

 近頃、男性の相談者が増えてきている。
 これまでは、圧倒的に女性のほうが多かった。

 書き手の私が女性なので、男性が少ないということもあるのだろうが、自分の弱みを見せたくないと思うが故なのかも知れない。

 男女の特性通り、女性の方々は概ね、よく喋る。
 もっとも、表現の仕方は「他者中心」的な言い方になってしまう。

 それでも、具体的なことをお話いただくので、どこに問題があるのか、わかりやすい。

 ところが、男性の方々は、なかなか自分のことを話さない。

 自分について、
 優柔不断だ。
 私は、なかなか決められない。
 あまり人付き合いがうまくない。
 みんなに迷惑をかけている。
 能力が足りない。
 努力が足りない。
 人に対して、コンプレックスが強い。

 こんな自己分析には長けている(?)。

 けれども、これでは、どこをどう扱っていいかわからない。

 だから「具体的なこと」を話してもらえるようにお願いするのだが、その「具体的」というのが、どうしても伝わりにくいようなのだ。

 自分中心の視点から言うところの「具体的」と、一般的に言うところの「具体的」とは、微妙に、見方が異なる。
 だから、わからないのも無理ないことだと思う。

 けれども、自分の人生においては、誰が主役なのだろう。

 言うまでもなく、自分自身だ。

 他者中心になって、他者を主役して自分を脇役において、どうして自分の人生を送ることができるだろう。

 自分を抜きにして論理的な思考ばかりしていても、あるいは、どんなに自己分析したところで、自分が見えていなければ、たいして役に立たないどころか、自分を大事にすることすらできない。

 もう一度、前記したものを「自分中心」の視点から見てほしい。
 優柔不断だ。
 私は、なかなか決められない。
 あまり人付き合いがうまくない。
 みんなに迷惑をかけている。
 能力が足りない。
 努力が足りない。
 人に対して、コンプレックスが強い。

 すべて「他者と比較している」ということに気づくだろう。

 こんな発想で、他者と比較しても、「自分を大事にすることはできない」ということに気づくだけでも、大きな収穫ではないだろうか。