つらい状態から抜け出す方法 1

 自分の感情を感じると、「つらくなるので、感じたくない」という人がいました。
 どうして、つらなってしまうのか。もろもろの理由があります。

 一つは、自分の感情と戦っているとつらくなるでしょう。
 自分が、そんな感情になっているのは、そうなる理由があります。理由があるからそうなっているにもかかわらず、それを否定して、打ち消そうとして戦うから、却ってつらくなるのです。

 まずは、どんな感情であっても、
「ああ、そうか、こんな気持ちになっているのか。それだけ、傷ついているんだね」
 などと、自分を労るような気持ちで、自分の感情を受け入れることが大事です。

 二つ目は、つらく感じてしまう感情の多くが、「“いま”の感情」に焦点が当たっていません。

 例えば、頭の中で思考すると、その思考によって感情が生まれます。
 過去のことを思い出せば、当時の痛みが蘇って感情が湧き上がるでしょう。

 さらにまた、過去のことを思い出して、それについて色々考えれば、その思考が感情を生むでしょう。

 特に、思考で生まれる感情は、どれだけでも生産できます。

「つらい、つらい」と呟いただけで、つらい気持ちになるでしょう。

「私はできない。できない私は、ダメだ」
 などと、自分を言葉で責めていけば、その言葉で、苦しくなっていくでしょう。

 自分を苦しくさせないために、そんな思考をやめればいいのですが、すでに固着している「思考する癖」をとるのは、至難の業です。

 ですから、そういう人は、いまは、それを「自覚する」だけでいいのです。も、少し気分が変わるのではないでしょうか。

 さらに三つ目です。
 日頃から、私は、
「自分の感情に気づいて、感情を感じる『感度』を磨くことが大切です」
 というようなことを言っています。
 けれども、その感度が問題です。   

 感情には、極端な言い方をすると、プラス感情とマイナス感情があります。

 例えばこの例で言うと「つらい」という気持ちが起こるのは、その大半が「いまの感情」ではなくて、思考で生産したものや、過去を思い出したり、未来のことを心配しことで引き起こされた感情です。

 こんなふうに、マイナス感情の多くは「いま」よりも、思考、そして過去や未来への思いや想像によって生産されています。 (つづく)