つらい状態から抜け出す方法 2
(2)
マイナス感情の多くは「いま」よりも、思考、そして過去や未来への思いや想像によって生産されています。
そうやって生産されるマイナスの感情に囚われて、そんな感情の中にどっぷりと浸っていれば、確かに、感情を感じる感度はどんどん高くなっていくでしょう。
けれどもアップするのは、飽くまでもマイナス感情の感度です。
マイナス感情を感じる感度が、どんなに高くなっても、それがプラス感情の感度を高くしていくことにはなりません。
では、プラスの感情は、どんなときに生まれるでしょうか。
過去や未来を思うとき、マイナス感情と同様に、絶えずプラスのことばかり想起すれば、プラス感情が起こるでしょう。
けれども、多く場合、プラス感情より、つらい、悲しい、苦しい、悔しいといったふうに、マイナス感情のほうが思い起こされます。
どうしてでしょうか。それは、過去の痛みが解消していないために、こだわらずにはいられないからです。
さらにまた、その過去を基準にして未来を予測するから、ますます、マイナス感情を生み出すこととなります。
こんなふうに、過去に囚われていると、どうしても、マイナス感情が生産されてしまうような思考をしがちです。
未来についても同様でしょう。
未来を思っても、自分の意識の土台がマイナスであれば、それを土台して思考するために、不安や焦りが起こるような思考をしてしまうでしょう。
では、「いま」に焦点を当てることができれば、どうでしょうか。
いま、〜で楽しい。
いま、〜でうれしい。
いま、〜で満足している。
というふうに、プラス感情は「いま」のほうが、はるかに実感しやすいと言えるでしょう。
「いま」に焦点を当てて五感を感じるとしたら、どうでしょうか。
「感じる」という点においては、感情よりも、五感ほうがわかりやすいでしょう。
いま寒いと感じたら、服を重ね着したり、部屋を暖かくしたりして、その暖かさに安堵するでしょう。
いまお腹が空いたと感じたら、食べ物を食べて、満足したと感じるでしょう。
「いま」という瞬間に焦点を当てることができれば、自分の気持ちや感情だけでなく、五感で感じる感覚の気持ちよさを味わうことができます。
ところが、思考に囚われていたり、未来や過去に囚われている人は、いま、そうやって暖をとっていても、空腹を満たしていても、その囚われゆえに、そんな心地よさを“実感”しません。
また、そうやって「いま」を実感できないから、いっそう思考や過去や未来に囚われていくという悪循環に陥るのです。
だからこそ、つらいという気持ちから抜け出すには、
「いまのプラスの感情や五感」に焦点が当たるかどうか。
そして、その「プラスの実感」味わう。
そんな癖を付けることが、最大の方法の一つなのです。 (終わり)