その瞬間を100パーセントにする

 無理もないことですが、「自分中心」と自己チューの違いがあまり理解できない人が少なくありません。
 もちろん、心の問題ですから、ここから自分中心で、ここから自己チューというはっきりとした境界線があるわけではありません。

 何度かメルマガ等でも取りあげていますが、相談者の方々と話をしているときに飛び出すのが、
「私の妻(あるいは夫)は、非常に自分中心なんですね。自分のやりたいことを自由に、どんどん、積極的に行動しています。私だけが他者中心で、悩んでいるんです」
 という言葉です。

 その後に、こういう言葉がつづきます。
「私が優柔不断なので、妻(夫)に、文句ばかり言われています。私も妻(夫)のようになれたらいいなと、思うんです」

 え、え、え???
「文句ばかり言われる?」
 自分中心の人は、自分勝手に自由に行動して、文句ばっかり言っている?

 相談者の人が「妻(夫)は、いつも自分中心なんです」と言い始めるとき、多くの場合、それを額面通りに受け止めることはできません。

 なぜなら、妻(夫)が自分中心であれば、相手も、その影響で、自分中心になっているからです。あるいは、自分中心の妻(夫)の影響を受けて、相手も徐々に自分中心になっていく可能性が高いからです。

 そんなとき、ほんとうは、
「あなたがいま、そんなふうに、つらい気持ちになっているのは、妻(夫)が自分中心ではないからなんですよ」
 と言いたくなります。

 これが、定番の「関係性」です。

 関係性からいうと、こんな状態になっている方々は、一方が支配的であるために、一方が我慢してあきらめていくという「支配・被支配」の関係になっています。

「どちらか一方はハッピーであっても、一方がアンハッピー」では、自分中心とは言えません。
「私も幸せ。あなたも幸せ」が自分中心です。

 もし、そうでなければ、どちらかが、我慢しているか、我慢させられています。

 自分中心の世界では、「私も幸せ、あなたも幸せ」と、ともに幸せになれるのです。

 お互いにいつも、常に100パーセント自分中心になることは難しいでしょう。
 けれども、ある瞬間だけは、10分だけは、1時間だけは、100パーセントに近いぐらい「私も幸せ。あなたも幸せ」というような経験は、誰にでもあるのではないでしょうか。

 そんな瞬間をできるだけ長く、あるいは幸せの質を高めていこうとする、そんな姿勢が自分中心なのです。