自分を優先するなんてとんでもない!?

 前出のお金持ちの話に関連することですが、相手の思いよりも「自分を優先できる」ということは、とても大事なことです。

 一般的な考え方に囚われている人は、
「相手のことを思いやらないで自分を優先するなんて、そんな自己チューなことをするなんて、とんでもない」
 と思ってしまうでしょう。

 けれども、残念ながら、自己チューの人は、「自分を優先していい」と心から思っているわけではありません。

 自己チューの人は、むしろ、自分のすることを相手に否定されたり邪魔されることを恐れています。

 他者を「戦うべき敵」だと認識していたり、他者によって「傷つけられる」と認識しているために、自分の心にバリケードを築いて自分を守ろうとするのです。

 相手をバッサリと切り捨ててしまおうとするのも、そんな恐れ故です。

 では「自分を優先する」ことを心から認めていれば、どうなるでしょうか。

 自分がそうすることを認められるので、心に余裕があります。
 余裕があるために、相手の心を感じることができます。

 ですから、仮に反対されたとしても、相手の気持ちを汲んで、
「あなたの助言には感謝します。ありがとうございます」
 と感謝の気持ちを言葉にすることができるでしょう。

 その上で、相手がどう言おうと、自分の気持ちを大事にしたいので、
「それでも、私はこうしたいのです」
 ときっぱりと言うことができるでしょう。

 相手を傷つけたくないという理由から、我慢して不満を抱きなが相手を優先することと、自分を優先することを心から認めて、相手にも感謝できたり、自分の気持ちを表現できたりすることと、どちらのほうが、より好ましい関係を築くことができるでしょうか。

 このように、頭で考えたりイメージしていることと、実際の感じ方では、大きな隔たりがあるのです。