できなくて当たり前2 (自分中心で争いが激化する?)
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また、このことも、自覚しておいたほうがいいでしょう。
自分中心のレッスンをしていると、時として、自分が、もっとだめになっているような気持ちに襲われることがあります。
自分中心になって自分を自覚したり、自分を感じはじめると、自分のことがよく見えてきます。
そんなとき、逆に、
「私って、こんなこともできていなかったんだ」
とはっきりと気づかされる瞬間があります。
それは、あなたがいままで心の奥深くに隠していて、陽にさらしたくなかった自分の弱さです。
それを自覚したとき、自分中心になっていくと、かえってダメ人間になっていくような錯覚に陥ることがあります。
実際に、そんな錯覚から、自分と向き合うことをやめてしまう人もいるのではないでしょうか。
けれども本当は、それは、あなたが「強くなった」ということの証です。
強くなったから、自分が見えるようになったということです。
他者中心ときは、それを知るのが怖くて、自分の無意識が、自分を見えなくしていました。
そのほうが、自分の心を守ることができるからです。
けれども、「自分が見えない」という、そんな方法で自分を守る必要がなくなった。
そんな強さが育ってきたから、自分の弱さが、表面に現れてきたのです。
自分の弱さを認められる、そんな強さが育ってきた。
どんな自分であっても「私は私を大好きだ」と言える自分になってきた。
あるいはまた、自分を守る具体的なスキルが身についてきたから、強くなってきたのだとも言えるでしょう。
これまであなたは、自分中心という概念を知りませんでした。
知らなければ、できる訳がありません。
知っただけでも十分なのです。
ですから、いつもの癖で「できて当たり前」。
「できて当たり前のはずなのに、でも、できない。できない私は、ダメだ」
といった思考に迷い込まないように注意しましょう。
元々知らなかったのですから、くれぐれも、できて当たり前ではなくて、「できなくて当たり前」という発想からスタートしてほしいものです。 (おわり)