そこにいてくれて、ありがとう

そこにいてくれて、ありがとう

 そこにいてくれて、ありがとう。

 空を見上げれば、青い空と白い雲に。

 四季折々の花々や樹木に。

 季節を告げる鳥や昆虫に。

 自然に対して、人が自分に寄り添ってくれるように、
「そこにいてくれて、ありがとう」
 という気持ちになれる、という話をしてくれた人がいます。

 私も、まったく、同感です。

 日々の生活が、当たり前ではなくて、いつもの日常を何事もなく平和に過ごせることが嬉しいと感じます。

 いま、駅に向かって歩く途中、造園業の庭に高々と伸びた椿の木が、たくさんの実をつけています。

 その実の大きさに驚いたり、色つやの美しさ深さに目を見はったり。
 初めて見るわけではないのに、椿の実に初めて向き合って挨拶を交わしたような、新たな気持ちにもなりました。

 そうやっていると、花の盛りのときにも、同じようにそこに立ち、艶やかな緑と深紅の花びらにみとれていた私が、いまの自分に寄り添ってくれる。

 そうだった。あなたは、去年もそこにいた。

 あなたはいつも、そこにいた。

 私があなたを知る前から、そこにいた。

 ただ、それだけで、
「あなたが、そこにいてくれて、ありがとう」
 そんな気持ちになってきます。

 あなたが何かをもたらしてくれるわけでない。
 私が、そう“感じる”から。

 どうしてなんだろう、と思います。

 自然に対して湧き上がるこんな思いを、人が、人に対してできれば、どれだけ争いが減ることだろう、と。

 多くの人が、相手に望む。

 相手が、自分に何をしてくれるのか。
 相手が、どれだけ自分を満たしてくれるのか。

 そんな尺度で、人に求める……。

「あなたが、そこにいてくれて、ありがとう」
 自然に対するこんな思いを、人にも向けることができれば、どれだけの満足と幸せがあるだろう、と、そんな思いが風のように吹き抜けて行きました。

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