さらに二極化が進んでいる

 最近思うのは、確実に二極化が進んできているということです。以前に増税されたのが関係するのかどうかはわかりませんが、あの時期辺りが境のような感じがします。

 所得では、高所得層と低所得層との差が大きくなっていると言われて久しいのですが、心の状態も同じようにポジティブ意識とネガティブ意識との差も、どんどん大きくなっているように感じます。

 カウンセリング業務を通して、
「あ、新しい傾向の悩みや問題があらわれてきたぞ」
 という兆候に気づきはじめると、やがてその傾向が数年から10年のうちに、あっという間に社会全体へと拡がって話題になっていきます。

 そういう伝でいうと、二極化が進んでいるということは、これから数年のうちに、精神状態ももっともっとその二極化が進んでいって、いま状態がよい人は、これからはどんどんよくなっていく。いま状態が悪い人は、これからもどんどん悪くなっていく、ということになるのでしょうか。

 自分中心心理学的に言うと、自分中心の人はますます自分中心になっていくし、他者中心の人はますます他者中心になっていく、ということです。

 例えば、他者中心になっていると、意識の土台が他者を見ています。

 他者をみている状態で言葉を発すれば、「あなたは。君は。お前は」という言葉になります。
 最初から「私は」ではなく「あなたは」と、相手のことが主語になるのです。

 では、「あなたは」という言葉を冒頭に遣えば、その後にくるのはどんな言葉でしょうか。

「あなたは、どうして〜」
「君はそんなことして、どうするんだ」
「あなたはいったい、なにをやってるの」
「お前には、困っている」
 といった言葉になりやすいでしょう。

 それとも、
「あなたはすばらしい」
「あなたは、よくやっている」
「あなたには、いつも感謝しています」
「あなたと話ができて、充実した時間をありがとうございます」
 といった言葉を多用しているでしょうか。

 前者のほうを多用すれば、非友好的な関係になりやすいでしょう。

 後者は、「あなたは」という言葉を遣っているとしても、ポジティブな言葉は、やっぱり自分の気持ちを伝えているように、自分中心的な要素が増えてきます。

 しかも、自分の気持ちを伝えるには、自分の気持ちや感情に気づく必要があります。
 さらにまた、相手に対して「ポジティブに感じる心」がなければ、できません。

 意識のスタートが他者中心と自分中心では、自ずと人生に大きな開きが出て来るのです。