言葉に過剰に反応していると
言葉に過剰に反応するというのが、最近の顕著な傾向です。
もちろん、傷つく言い方をされて歓ぶ人はいないでしょうが、過剰に反応してしまうと、お互いに傷つけ合う結果となってしまうでしょう。
他者中心になって、相手に意識を向けていればいるほど、相手の言葉にこだわって、相手の言葉に反応していきがちです。
相手の言葉にこだわるというのは、「相手が傷つく言葉を言ったとき」だけではありません。
これが昨今の他者中心の人たちの特徴でもあるかもしれませんが、相手の心を、自分の心で感じて判断するよりも、相手の言葉を鵜呑みにして信じてしまうことによって問題がより深刻になってしまう、ということが起こっています。
例えば、相手が、
「忙しくて会う時間はないけれども、好きだよ」
と言ったとしましょう。
言われた人は、相手のその言葉を信じます。
相手の言葉通りに、忙しくて会う時間はないけれども「好かれている」んだと。
実際に、相手が言う通り、会う時間はなかなか訪れません。それでも、文字通り「会う時間はないけれども、好きだよ」という言葉を信じ、その言葉にすがってしまうと、会えなくても待つでしょう。
心の中では、「どうして、会おうとしないんだ」という不満を抱きながら
も、相手の言葉にすがって待てば、さらに自分が傷つくことになるでしょう。しかも、そうやってすがるから、いっそう自分では決断できないという悪循環に陥っていくでしょう。
言葉ではなく、自分の気持ちや感情を大事にできる人であれば、実際に会おうとしないという“事実”のほうを重視するでしょう。
事実を直視できれば、相手のいう「好きだよ」という言葉に、何の価値もないと判断できるでしょう。
そして、相手の言葉を信じて待つよりも、自分を大事にしてくれる人、あるいは大事にし合える人を求める決断ができるでしょう。
相手の言葉に囚われて、言葉のほうを鵜呑みにしてしまうと、どんな状況においても自分自身を傷つけてしまうことになるのです。