298円と398円の違い

 自分の感覚に焦点を当てていると、小さなことでも「大きなこと」だと気づくことが少なくありません。

 スーパーで買い物をするとき、似たような商品に298円と398円がついていると、どちらを買ったほうがいいかと迷います。

 その一方で、万単位の買い物をするときは、100円の違いは端数に感じます。
 こんな感覚の違いを認識することは非常に大切なことです。

「感じることに焦点が当たっているかどうか」という意味です。

 自分を見るとき、398円を高いと感じるか、大して違わないと感じるかが、自分のお金に対する感覚です。

 298円のものよりも、398円のものを選んだほうがいいと言っているわけではありません。
 その商品の値段が自分にとって適正かどうかという「価値に対する」感じ方です。

 値段が高い安いという損得ではありません。
 自分がその商品に対して、その価値をどんなふうに“感じているか”ということです。

 その商品とその価値の感じ方の関係性を、感じ方で知っておいてほしいということです。

 自分を見て感じることに焦点を当てていないと、自分がその商品に対して、どれだけの価値を置いているかということがわかりません。

 298円と398円を比べて、398円が高いと感じるのは、普段から、この商品は298円の価値しかないと思っているからです。

 けれどもそのとき、398円の値段より、同じものだが産地が違う。味も違う。ということを味覚や経験で知っていれば、迷いなく398円を選ぶでしょう。

 損得よりも、そんな価値に対する「感じ方」を日ごろから自覚していれば、買う物に対して、より価値のあるものを選ぶことができます。

「思考」で考える損得は、せいぜい“目先の得”が得られるだけです。

 さらに重要なのは、目先の得に意識が集中している状態は、その奥に、言わば、
「私はどんなに頑張ったって、これだけしか稼ぐことができない。だからせめて、目先のことで、少しでも儲けないと損だ」
 といった限定された意識が隠れているということです。

 自分の価値に対する感じ方を大事にしていくというのは、その限定を外して、稼ぎの枠を拡げます。

 そんな限定を外せば、目先の1000円得する生き方よりは、1万円を稼出す生き方になっていくでしょう。

 結論を言うと、目先の得を追いかけていると、損します。

 それよりも、価値に対する感じ方を磨いていったほうが、自分の価値を高めることになるので、より価値あるものを得ることができる人生になっていくのです。
 だから目先の得よりも、「感じ方を大事にしたほうがいい」ということなのです。

『「どうして私ばっかり……」と思ったとき読む本』(PHP研究所)を読んでいただくと、そんな損得で生きると「損をする」ということがはっきりと理解できるのではないでしょうか。