自分の言動で自分を傷つけている(1) 

自分ではそのつもりはなくて、自分の態度が相手に影響を与えて、
相手が“自分に対して否定的”に見えることがあります。

自分の目からは、相手が自分に対して
否定的な態度をとったように映ったとしても、
そのときは実は、自分自身が「発信源」となっています。

案外気づかないものですが、自分が常日頃から、
思考したり心の中で呟いていることが、表情や態度となって現れます

心の中でいつも腹を立てていれば、顔つきや表情もそうなります。
それが続けば、顔の筋肉も、そのようになっていくでしょう。

眉間にしわを深く刻んでいる人は、たまたま、
しわが深くなったわけではありません。
眉をひそめてしまう意識が、
その筋肉を動かして、その頻度が高いために、
深くなってしまったということと同じです。

もちろん、自分にはまったく悪意がなくて、
相手を好ましいと思っていたとしても、
相手が勝手に「人に責められている。

否定されている」と解釈すれば、否定的な態度、
表情になるでしょう。

その結果、どちらかが、相手に対して、
あからさまに「否定的な言動」をとれば、
そこから争いに発展するでしょう。

このとき、多くの人は、「自分が正しい、相手が悪い」
という正否を振りかざして、主張しようとします。

私が相手に何かしたわけではない。
にもかかわらず、相手が自分を傷つけるような言動をとってきた。
言わば、正当防衛なんだから、私が反撃するのは当たり前だ。

あるいは、

相手が間違っているのだから、それを証明しないと気がすまない。
相手に、「自分が悪かった」と認めさせないと気がすまない。

そんな気持ちに駆られて、
相手と競い合ったり争い合ったりしていきがちです。

けれども、これを自分中心的に捉えれば、
「ほんとうは、どちらが悪いのか」といことよりも、
そうやって、
相手と「争う」という形で関わり合ってしまうことのほうを、
重視します。

相手と争い合うということは、
どちらも「折れたくない。認めたくない」という気持ちでいます。

お互いにそんな気持ちがあるときに、一方が、
「私が正しいのだから、認めろ!」
と叫んだとしても、相手が承知するわけがありません。

相手とこんな関係になっているときに、
「自分のほうが、正しい」とばかりに相手に言いつのったとしても、
相手もまた「自分のほうが、正しい」と思っているのですから、
争い合うことを繰り返すだけとなるでしょう。

もちろん、そのことによって実害があったとしたら、
しっかりと主張すべきでしょう。
けれども、その多くが、心理的なトラブルで、
実害までに発展しないことが少なくありません。

そんなとき、
「あなたが先に、しかけてきたんじゃないの」
「自分のほうが正しい。お前が間違っている」
ということを、互いに相手に認めさせようとするよりは、
そうやって「関わり合っていること」
を問題と捉える必要があります。

なぜなら、ここが、「自分を守れていない」
ということの証左だからです。

自分を守りたいと思いながらも、実は、
自分がそうやっていることが、争いをエスカレートさせている。
相手に非を認めさせようとして、争っていく。

こちらのほうが、いっそう自分を傷つけている、
言わば、気づかずに自傷行為をしている人たちが、
圧倒的に多いのです。  つづく