最近の子どもの打たれ弱さ 1 (読者からの質問)

息子(4歳)は、人前では我慢して泣かないのですが、家では、
少しでも私や主人に怒られたり注意されると、すぐべそをかき、
「怒られるのが悲しい」といいます。
一緒に遊んでいても、自分が負けたりちょっとでもやられたり
すると、怒って叩いてきて、最後は怒られて大泣きをします。

主人は、息子の打たれ弱さとプライドの高さを気にしていて、これ
は、ほめてばかりで父親(自分)がきつく叱ってこなかったから免疫
がないのだといい、今からでもきつく叱った方がいいと言います。私
はそうは思いません。

幼少時、主人は父親から、私は母親からきつく叱られ、決してよい思
いはしてきませんでした。それが、子どもに本意を伝えるよいやり方
ではないと思い、なるべく主人の怒号は押さえてもらっています。
私はなるべく「~しようよ」「ママは~と思うよ」などの言い方をし
ているつもりですが、感情で怒ってしまうこともままあり(後で息子
に謝りますが)、息子は決して怒られ慣れていないのではないと思い
ますし、それが原因ではない気がします。

「最近の子は打たれ弱い」と、よく耳にします。確かに近所の子に軽
く注意をしても、すぐいじけて立ち去ったり、「自分だけ怒られた」
などと後味悪いことを言うので、注
意する方もとても気を遣います。

でも、きつい言い方をされて嫌なのは大人も同じなので、言い方を考
えるのは自分中心的にも大事だと思っています。

先生は、最近の子どもの打たれ弱さをどう思われますか?
彼らは大事にされる余り、怒られることに慣れていないのでしょう
か? 
それともいちいち干渉されるので、一言一言を他者中心的にとらえ、
評価を下されたと思ってしまうのでしょうか?

親が自分中心でないと、子どももそうはならないとおっしゃっていた
ように思います。
誰かに何か言われても、自分中心にとらえ動じない子に、また本意を
素直に受け止めて行動できる子になってほしい。打たれ強くなるに
は、本人にどのような経験が必要なのでしょうか。

親の「こうなってほしい」はさておき、子どもの言動に一喜一憂せ
ず、そのままの彼を受け止めていけばよいのでしょうか。

(返信)
ここには、さまざまな問題が含まれています。
それらの問題点の一つを取り上げてもまた、それぞれ、さまざまな視
点から語ることができるでしょう。

以前、メルマガで「親が自分中心でないと、子どももそうはならな
い」と言ったこともそうです。
文章にすると、どうしても、立体的な思いを凝縮してその文字に平面
的に表現しなければならないために、言葉でそれを言い尽くすことは
困難です。
立体的な思いを平面で表現したとき、その平面を、今度は、読み手が
立体的に解釈します。けれども、すでにここで、私の立体性と読み手
の立体性とは、異なっています。

「打たれ弱さ」という点においては、子供のみでなく、いまの社会の
人たちの、圧倒的多数が、打たれ弱くなっていると思います。

一般的に「打たれ強い人」と思われている人も、自分中心心理学的な
見方をすれば「打たれ弱い人」という見方になるかも知れません。

そもそも私は「打たれ強さ」を推奨したいとは思っていません。
というのは、「打たれ強い」ということは、困難な人生を引き寄せる
可能性が高くなりからです。

「打たれ強い」という言葉には、争いや戦いや対立が想起されます。
この言葉に強く囚われていくと、「打たれ強さ」が問われる環境の中
に、自分がいるのが前提のような気分になってきませんか。

すると、その「打たれ強さ」を意識するあまりに、自分自身が、そん
な環境の中に入っていくというふうに、自分がそれを引き起こすとい
うことにもなっていくでしょう。

事実、親が、子供に対して「打たれ強さ」を問題にするから、子供の
「打たれ弱い」ところが気になり、それを気にして修正しようとする
から、いっそう、「打たれ弱く」なるという悪循環が、すでにつくら
れているかも知れません。

さらにまた、親がその「打たれ弱さ」を気にするあまりに、「今から
でもきつく叱った方がいい」となれば、さらに打たれ弱くなっていく
でしょう。

へりくつをこねているように思われるかも知れませんが、これも質問
の中の一例で、こんなふうに、いろいろな方向へと掘り下げたり、広
げることができます。

私としては、普段は「打たれ強さ」を発揮しないでもすむ世界に居
て、いざとなったら、「打たれ強さ」を発揮する手前の、手前の、さ
らに手前の、軽い段階で解決できる能力を身につけていたほうが、は
るかに良いと思ってしまうのです。

そんな手前の手前の手前の軽い段階で対処できる能力を身につけるに
は、全体を把握する能力、未来を見通す力、さらには、さまざまな出
来事に対しての対処能力が必要です。

たとえば私が良く例に挙げる「自分中心能力の高い人」たち。イチ
ローさんや羽生さんや、最近では、ゴルフの石川遼さんでしょうか。

彼らはそもそも、「打たれ強い」という言葉から想起されるような世
界とは、無縁の世界に生きているような感じがしませんか。
ここに答えがあります。(この点については、『8月30日実施の6
年周期リズム勉強会』の中でお話させていただきます。)

「どうすれば、そんな能力が身につきますか」
とよく問われます。
「全体を把握する能力、未来を見通す力、さまざまな出来事に対して
の対処能力」がつけばつくほど、そんな問い方そのものを、しなくな
っていくでしょう。
まさにその秘訣が『即効性ワーク』です。
                    つづく