脳の回路を育てる(2)

「罪悪感を消していく」というのは、カウンセリングの中でも、
ずっと、やってきたことである。

決して、最近、にわかに思いついたものではなく、
自分自身の中で、無意識のうちにデータとして蓄積し、
無意識が自動的に解析したりしていたのだろう。

罪悪感を減らしていくことで、偏った思考が修正されたり、
柔軟な思考ができるようになったりする。
ということは、罪悪感が、脳の働きそのものを制限している、
ということになる。

心は、脳にもあらわれている。
脳が立体思考になれば、心も変わる。

脳が働かないわけでない。
頭が悪いわけではない。
脳の回路にストッパーがかかっているだけである。

だから、脳の回路を開くには、『罪悪感』というストッパーを
外すだけでいい。
そうするだけで、まず、心が軽くなり、これまで使っていなかった
回路も次第に働き始める。

ただ、中には、もともと支線が構築されていない人もいる。

支線へと走る切り替えポイントに立っていたとしても、
支線が存在しなければ、違った場所へも行きようがない。

例えば、私が「罪悪感はできるだけ減らしたほうがいい」
と言ったとする。
すると典型的な思考タイプの人は、
「罪悪感を減らさなければならない」と“思考”する。そして、
それができなければ「罪悪感を覚える」というふうに、
「しなければならない」という思考回路で固定されている人は、
「罪悪感を減らしたほうがいい」という情報すらも、
その情報によって、「でも、できない」となれば、一個、
罪悪感が増えることになる。

こんな固定された山の手線状態のときは、
新たに支線を築く土木作業から始めることになる。
そう言うと、また、それを思考やイメージで捉えて、
とてつもなく長いレールと、それが完成するまでの年月を想像して、
落ち込むかも知れない。

そんなふうに絶望的な気持ちになる人ほど、
いまを生きていない人である。

悩みをたくさん抱えている人ほど、過去と未来に生きている。

過去のことをあれこれ思い出しては、後悔したり悔しがったり。
未来のことを考えたり想像したりしては、不安がったり焦ったり、
恐れたり、というふうに。

自分中心心理学は、言うなれば「いまを生きる」
心理学である。
どれだけ、いまを生きることができるか。
どれだけ、いまの瞬間、瞬間を生きることができるか。