「責任の範囲」を把握する   

責任という文字を見たり聞いたりすると、
“気後れしてしまう”人が多いかもしれません。
本のテーマを、「責任をとる」や「謝罪する」というテーマは、
あまり売れません。

もちろんそれは、責任をとることを恐れているからでしょう。

本当は、そういう人ほど、自分の「責任の範囲」を、
もっと具体的に把握できる能力を育てる必要があります。

なぜなら、そうやって恐れてしまうのは、責任をとるべきとき、
その取り方を過剰に捉えている、と言えるからなのです。

その責任の中には「罪悪感」もあります。
罪悪感が強くて、とる必要のない責任までも、
自分の責任と考えている人たちが少なくありません。

責任を過剰に捉えれば、自分を苦しめることになるでしょう。
それだけではありません。

あなたは、こんな相手に、迷惑を掛けられた経験はありませんか。

何度言っても、約束したことを守ってくれない。
あたかも呼吸するかのように、平気で嘘をつく。
「ああ言えば、こう言う」で、決して自分の非を認めようとしない。
逃げてばかりいて、向き合ってくれない。

責任をとることを恐れている人ほど、
こんな相手を引き寄せてしまいます。

自分中心心理学では、「自分の責任」と「相手の責任」を明確に判断できる能力を育てます。

この見極めが、身を守る結果にもつながっていきます。

この能力が育てば育つほど、トラブルに巻き込まれたり、
責任転嫁されるということがなくなっていくでしょう。

これは、言い換えれば、「私の自由」「相手の自由」を認め合うということです。

一見、「自分の自由は、相手の不自由」あるいは、
「相手の自由は、自分の不自由」と言いたくなるほど、
お互いの自由は、成立し得ないことのように思うかもしれません。

もしあなたがそんなふうに思っているとしたら、あなたは、
本当の自由を知らない、と言ってもいいでしょう。

本当は、自分が自由であればあるほど、
相手の自由を尊重したくなります。
そして、そうであればあるほど、
・自分を守ることができる。
・自分を信じて行動できる。
・失敗を恐れずに、自分の能力を発揮できる。
こんな自分になっていきます。

「責任の範囲」を見極めることは、お互いに
「自由を認め合う」ための、最も重要な根本原理の一つです。