漠然とした怖さを抱えているとき

傷つくのが怖い。
裏切られるのが怖い。
騙されるのが怖い。

これらはすべて、「漠然とした思い」です。

こんな漠然とした思いに駆られるのは、
これまでにたくさんの「怖い」を体験していて、
それを解消できずに生きてきたからでしょう。

その経験の蓄積が「~が怖い」という漠然とした感覚に
支配されている状態だと言えるでしょう。

もちろん、そんな蓄積が、
自分の人生の土台に刻まれてしまっていれば、
周囲や他者を見る度に、
「傷つけられるんじゃないか。裏切られるんじゃないか。
騙されるんじゃないか」
などと想起するでしょう。

けれども、そうやって、他者中心的な意識で
恐れれば恐れるほど、相手がそんなふうに見えるために、
いっそう怖くなっていくでしょう。

こんなときは、自分にもどって「具体的に考える」ことが
必須です。

例えば、いつも「騙されるのではないか」と
不安になっている自分がいるとしましょう。

このとき、
「みんなが、私を騙すのではないか」
という意識でいるのと、
「(特定の)Aさんが、私を騙すのではないか」
では、まったく違います。

「みんなが」という意識でいると、
対象が全ての人になってしまい、
意味もなく周囲を疑っていくでしょう。

「Aさんが」という特定の人物であれば、
焦点が絞れます。
これが、自分に戻ると言うことです。

では、Aさんが騙すとしたら、どんなことで
騙す可能性があるのでしょうか。

それを具体的に探っていくと、例えば、
「お金を騙しとられるのではないだろうか」
「嘘をついて、自分の嫌なことを
させようとするのではないだろうか」

こんなふうに、「騙されるかもしれない」具体的なことを
探っていけば、自分が「騙される」と恐れていることが、
よりはっきりとしてきます。

お金であれば、自分に問うて、
自分が納得できる金額以上に出さないと決めたり、
「お金の話が出たら断ろう」と、
心に決めれば、騙されるという不安が軽くなるでしょう。

こんなふうに決めるときこそ、
相手のことを「可哀想だ」などと斟酌したり、
「嫌われたらどうしよう」などと他者中心的な思考を
するよりも、自分を基準にした決め方をしたほうがいいのです。

この例のように、根拠なく恐れを抱いている人ほど、
物事をもっと具体化させて考えるレッスンをしていきましょう。