扇動する人、される人(1)

2018(平成30年)年1月に政府が実施した
「自衛隊・防衛問題に関する世論調査」で、
『日本が戦争を仕掛けられたり戦争に巻き込まれたりする危険が
あると思うか」という質問に対して、
「危険がある」と答えた人は85.5%に上り、
3年前の前回調査と比べて10ポイント上昇しました。
2009年の調査以降、最も高い数字で、防衛省の担当者は
「北朝鮮の核・ミサイル実験が要因になっているのでは」
と分析しています。』
という記事がありました。

これは2018年の記事です。
それから4年が経過しています。
いまや、北朝鮮の危機どころか、「ウクライナ・ロシア」戦は
停戦とならず、むしろさらに拡大していって、
第三次世界大戦の危機へと意図的に図られているように
みえてしまいます。

そんな世界情勢を前にして、それに恐怖を抱けば、
「やっぱりそうか、戦争勃発に、みんなが危機感を抱いているんだ。
やっぱり、もっと軍事費を増やすべきだ。憲法改正して、
軍隊を持つべきだ」
などと考える人がいるかもしれません。
あるいは
「やられる前に、攻撃できるような軍事力をつけなければならない」
と思う人もいるかもしれません。

でも、反対に、
「そうか、巻き込まれる危険があると考える人が、
こんなに多いのか。油断すると、戦争になってしまうかもしれない。
戦争へと扇動する人たちもいるかもしれない。
くれぐれもそんな扇動に乗ってはいけないな」
と考える人もいるかもしれません。

「でも、戦争をする前に、もっと平和的に努力できることがあるはずだ」
と思う人もいるでしょう。
「自衛隊・防衛問題に関する世論調査」には、
もっとたくさんの設問があります。
けれども、この項目だけを切り取って記事にすれば、その中に、
意図があるという解釈もできます。

すでにこの記事そのものが、
「軍事力を高めていこう」という意図を持ったコントロールが
その中に入っているのかもしれません。

無意識の視点から観ると、
「戦争に巻き込まれる恐れ」を強く抱けば抱くほど、
それは「戦争を願っている」ということになってしまいます。

なぜなら、「恐れ」は、すでに心の中で、
その場面を想起しているからです。

強く想起しているということは、すでに心の中で、
それが“起こって”います。

納得できない人も多いかと思いますが、
“すでに起こっている”がごとくに体感していれば、
物事を捉えるとき、これを土台にして選択していきます。
それは、「戦争が起こるように選択していく」ということです。

例えば、絶えず勝ち負けを争って勝とうとしている人は、
実際の生活においても、絶えず争っています。
多くの場合、自分のほうから仕掛けていきます。

顕在意識ではそれを望んでいないと思っているとしても、
無意識に、争いを仕掛けています。仮に本人は
「穏やかな話し合い」をすすめたいと思っていても、その言動すら、
第三者の目には「争いを仕掛けている」としか思えない言動を
とることがしばしばです。

同様に、巻き込まれることを恐れている人は、不思議なほど、
争いに巻き込まれるほうへと、自ら選択していきます。

自分のほうが最初に攻撃するわけではないとしても、
相手が「攻撃したくなる」ような言動をとってしまうのです。

その結果、争いに巻き込まれる状況へと流れていくのです。 
                          つづく