返信2 (前回の続きです)

(返信その2)

私がセミナー等で、「実践してください」と言うと、
それを、
「実践しなければならない」
と受け止めたり、積極的に行動するイメージを持つ人が
少なくありません。

相談者の方の場合で言うと、
「何が原因という訳ではなく、
朝起きたらそんな状態になっているのです。
今は疲労感と挫折感のような心情で、
動きたくなくなっているのが、現状です。」

こんな場合は、「動くのをやめよう」と、
決めて、気持ちよく休むことが“実践”です。
決して、「動くことができないけれども、無理して動く。
つらくても積極的に動く」が実践ではありません。

自分の気持ちや感情、意志を無視して動くのは、
自分中心心理学の立場では、実践と言いません。
無理をしても、どうせ、無意識が、
無理をしない方向へと自分を運んで行く、
と知っているからです。
無理を通しても、遠回りになるだけだと、
心に刻んでほしいのです。

“実践”というのは、自分の心に添っています。
(あなたが、自分の心に寄り添ってあげなければ、
誰が寄り添ってあげられるでしょうか。)

もっと自分の心を細かく見れば、今まで
「しなければならない」と思い込んでいたけれども、
「私は動きたくないんだ」
とわかった。自分の感情に気づいた。
これも「自分の感情に気づく」という点で、
実践したことになるのです。

実践というのは、そんなささやかなものです。

その「ささやかなもの」が、実は、
とても大きな収穫となり得るのです。

たとえばここでは、「しなければならない」という束縛から、
「したくない」という感情に気づき、
「したくない、から、しない」という自分の感情を優先した。
束縛か解放か。
その気づきは、これまでの人生がくつがえるような収穫
といえるのです。

そしてまた、そんな小さな実践を見届ける。
それが、自己信頼を育てるのです。
むしろ、これなしには、自己信頼は育たない、
といっても過言ではありません。