罪悪感の脚本    Mさん

毎週1回くらい、ハンバーガーショップで、朝食をとる。

気にいっている席がある。
でも、その席の、一本足のテーブルは、ちょっとゆがんでいるのか、
グラグラしている。
コーヒーカップを置くと、グラリときて、
いつもコーヒをこぼしていた。

先週、初めて、店の人に、
「テーブルがグラグラしていて、、何か挟んでいただけますか」
「私が、席を移れば、いいと思うんだけど、この場所が、
気にいっているんです」
と、言ってみた。
何年もかかったけど、言えた~!は、満足した。

女の子が、いろいろ挟んだりしたが、直らない。
テーブルを取替えもしたが、状態は、変わらなかった。
床が、ひしゃいでいるのかもしれない。

時間もなかったので、今日はもういいです、と、言って、
そこで、食事をした。


今朝、同じ店に寄った。
いつもの席は、ふさがっていた。

違う席に座ったら、そこのテーブルは、しっかりしていた。
いつものように、コーヒーを頼んで、食事をしていたら、
店長が近づいてきて、
「先日は、テーブルの件、申し訳ございませんでした」
と、言った。

「すぐに直したいのだけれど、床が痛んでいるようで、
もう少々、お時間ください。申し訳ありません」
と、頭を下げた。

私は、びっくりした。
先週のことだし、そのとき、店長もいなかったのに、
ちゃんと報告されていたこと、
私だ、ということも、伝わっていること。

まったく期待もしていなかったので、あわててしまった。
「ご丁寧に、ありがとうございます。よろしくお願いします」
と、答えた。

店長は、厨房へ戻った。
はぁ~びっくりした、と、椅子に座りなおしたら、
自分で、テーブルを、蹴っ飛ばしてしまって、コーヒーをこぼした。

 あ、こぼしちゃった!と、ナプキンでズボンを拭いていたら、
持っていたハンバーガーから、脂っこい中身が、ポロリと、
また、ズボンに落ちた。

今朝、黒っぽいズボンを、一旦、穿いたのに、
出掛けに、氣が変わって、薄いベージュのズボンに、着替えていた。


今、思い返してみると、

要望を伝えた。(これだけでも、十分なのに、)
思いがけなく、丁寧な対応をされた。
私は、丁寧に対応されることに、とまどった。
よくわからないけど、そういう対応される自分に初めて
遭遇したような、
レッスンはこれからだけど、
「罪悪感」に関係あるような気が、する。

しっかりしたテーブルで、コーヒーがこぼれないから、
自分でこぼして、さらに、まだ、罰が足らん!みたいに、
ハンバーガーまで、こぼした。
その上、白っぽいズボン。

脚本があるみたい。