決められる人、決められない人(2)
大きな選択で迷ってしまうのは、実は、「小さな場面場面」において、自分の感情に気づいていないから、というのが最大の理由です。
例えば、Aという小さな場面で、あなたは自分の感情に気づかずに素通りしたとしましょう。
Bという小さな場面においても、素通りさせたとしましょう。
あるとき、あなたは、かすかに“自分の気持ち”が動いていることに気づきました。
それは、したくないという気持ちでした。
ところがあなたは、すぐさまそれを打ち消して、いつものように素通りさせてしまいました。
そんな素通りを繰り返していれば、あなたはドンドン、自分の欲求に鈍感になっていくでしょう。
けれども、自分の感情は、どんなに小さい感情であっても、無視すれば「未処理の感情」となって残ります。
「小さな不安」に気づかなければ、それが蓄積していって「大きな不安」になっていきます。
「小さな焦り」に気づかなければ、それが蓄積していって「大きな焦り」になっていきます。
どんな感情も、解消されなければ、それはどんどんプールされていくのです。
そうやって小さな場面で自分の感情に気づかないと、例えば「会社を辞める、辞めない」といった大きな悩みにまで発展してしまうでしょう。
つまり、「大きな感情」になってようやく気づくのです。
けれども小さな場面を素通りさせてしまうということは、小さな場面で自分の感情を処理する対処能力が育っていないということを意味します。
小さな場面ですら対処能力が育っていないのであれば、大きな場面で決めることはもっと難しいでしょう。
そのために、「辞めたい。でも辞めるのが怖い」という間で、何年も悩み続けることになるのです。
ですから、「迷ってなかなか決められない」という人は、小さな場面からレッスンをすることです。
例えばあなたはお昼に、
「今日は何を食べようか」
と迷うことはありませんか。
そんなとき、自分を“感じて”決める。
そして決めたら、「こっちを選んでよかった」という気持ちになるために、「美味しいなあ」と、じっくりと味わうことです。
“味わう”ことで、迷いが消えます。
こんなレッスンをするだけで、対処能力を育てることができるのです。 (おわり)