家族の問題
娘(成人)の関係で対応に苦慮し、悩んでおります。
娘の状況は専門家に言わせるとおそらくパーソナリティ障害ではないかとのことです。
本人は病院等にいくことを拒んでいます。
特に妻に対していわゆる切れて怒鳴りまくっています。
ついては、このような場合の親の対応はいかにあるべきか、どのようにしてよいのか先が見えません。こうした場合のカウンセリングというものはあるのでしょうか。
こんな質問をいただきました。
状態が悪い場合は、自分のほうから心理療法を受けようという気持ちにはなれないものです。
場合によっては強制入院が必要な場合もあるのでしょうが、可能な限り、本心の意思を大事にしたいものです。
直接本人が心理療法を受けないとしても、家族が変わることによって好ましい変化をもたらすことは可能です。
もともと、家族の誰かが心の病に陥っているとしたら、それは、その人だけの症状ではなく、ほんとうは、それが家族の症状であると言えるからです。
むしろ、その中の誰かがひどい状態で苦しんでいるとしたら、家族がそんな状態に追い込んでいるということもできる、というほど、本人の問題は、同時に家族の問題なのです。
ですので、その当人だけを治療すればなんとかなる、というよりは、家族、とりわけ養育してきた人たちが変わる必要があるでしょう。
この世はすべて、バランスで成り立っています。家族も例外ではありません。家族の誰かが変われば、それに応じて変わらざるを得ません。
例えば、これまで、母親が父親に対してしてあげていたことを、ある日「もう、しない」と決めて、それをやめてしまえば、誰もする人がいないか、する必要があれば、父親が自分でやらざるを得なくなるでしょう。
健全な社会生活が困難な状態の人に対して「愛情が足りないから、もっと愛情を」とアドバイスをする専門家が少なくありません。
「とにかく愛情が足りないのだから、何でも言うことを聞いてあげなさい」とアドバイスされた人もいるそうです。
実際に専門家の人がそう言ったのか、相談者の方がそんなふうに解釈したのかはわかりませんが、「愛情」ということを、勘違いしている人たちは少なくありません。
根本的には、どんな「愛情」にも、「責任」がセットになっています。
この「責任」ということが、多くの場合、すっぽりと抜け落ちています。
また、その愛情の前に「私を認める。相手を認める」という非常に不可欠の条件があります。
この「私を認める。相手を認める」を基盤とした上での「愛情と責任」です。
誰かがこれを学んで家庭に持ち込み、それを日常生活で実践できて初めて、家族が、あるいはそのもっとも状態の悪い人が変わりはじめる道が開けてくるのです。