コップの水
自分の子供について、
「まだ、ひとつのことしかできないんですよね。普通だったら、いくつものことを抱えながら、並行してやっていくものでしょう」
と言った女性がいました。
もう、これだけで、彼女は、子供を否定していることがわかります。
「まだ、ひとつのことしか」というのは、彼女の意識をあらわすものです。
ある場面で子供に対して「まだ、ひとつのことしか」という捉え方をしているとした、他の場面でもこんな目で見ながら、知らずのうちに子供を否定しているでしょう。
例えば、コップがあります。
コップの水が、半分になっています。
このとき、「もう、こんなに減ったのか」とつぶやくとしたら、水が空になっているほうに焦点が当たっているということになります。
大事なのは、その実感です。
空になったほうに焦点を当てれば、どんな気持ちになっていくでしょうか。
不安になっていくでしょう。
どんどん不安になっていくために、余分に買い占めて行ってしまうかもしれません。けれども、不安が蓄積していって大きくなると、動かなくなってしまうのです。
不安、不安と脅えたままでいれば、行動ができなくなってしまうでしょう。
では、満たされている水のほうに焦点が当たっていれば、どんな気分になるでしょうか。
空になっているほうに焦点が当たるよりは、安心していられます。
安心していられれば、適切に判断できる可能性が高くなるでしょう。
適切に判断して、「じゃあ、また、満タンにしておくか」というふうに、不安がない分だけ、行動しやすい意識になるのです。
足りないほうに焦点を当てるか、満ち足りているほうに焦点を当てるか。これだけで、次の行動も変わってくるのです。