「欲求があってもできない」という答えが返ってくる 1
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自分の欲求を満たしてあげましょう。
それは、「いま、目の前にあることに対しての欲求です」。
いま、会話していて、 いま、相手に言いたい。伝えたい。
いま、こうしたい。
こんな、「いまの気持ち。いまの欲求。いましたくないこと。いましたいこと」を叶えてあげてください。
私がどんなにそう言っても、やっぱりこんな答えが返ってきます。
「欲求があっても出来ない悔しさや孤独感も沢山あるのです」
あるいは、
「どうしても、イメージで大きく捉えた欲求のほうに囚われてしまうので、自分の願いを叶えてあげるのは無理、というふうに思ってしまうのです」
当然だと思います。
大きな欲求のほうに囚われれば、「無理」という気持ちになるのは、当たり前でしょう。
自分が「とても無理」と感じるとしたら、その感じ方は、正しいと言えるでしょう。
自分の無意識がもろもろのことを把握していたり状況を理解していて、無理だよと知っているから、「とても無理と感じる」のですから。
例えば、ある妻が、
「もう、これ以上、夫と一緒にいるのは、耐えられません。だから離婚したいんです」
と言いました。
離婚する意志さえあれば、すぐに離婚できるはずです。
でも、そう思いながら、すぐに実行に移すことができる人はごく少数です。
多くの人が、離婚したい、離婚したいと言いながら、それでも一緒にいます。
中には、自分が離婚できないことを、「子供がいるから」と子供のせいにする人もいます。
「子供のせいにする」ことだけはやめてほしいと、個人的には強く思います。
心の中では、強く離婚を望んでいる。
大きな望みです。
でも、できない。
すぐに叶えることができるのに、どうして叶えることができないのでしょうか。
イメージでは、夫から解放されたら、どんなに自由になるだろうかと、夢想しながら、その解放感に浸ることはできます。
けれども、現実的には、離婚に至までに、もろもろの問題が生じます。
離婚後のことも、心配になるでしょう。
まず最初、夫に離婚の話を、どう切り出すか。
ここからはじまります。
現実的には離婚を切り出して、相手を傷つけてしまうことにも苦痛が伴うのです。
夫がすんなり、包容力いっぱいの態度で、
「そうか。わかった。いいよ。好きにして。いつでも別れるし、ハンコを捺すよ。もし、心配だったら、すぐに籍を抜かなくてもいいよ。
信じられないのであれば、離婚届けにハンコを捺すから、気が向いたときに出せばいい。
出て行けと言うのであれば、出て行くよ。家を探してというのであれば、探してあげる。快適な空間を提供するよ。
僕はいっさい、あなたに迷惑をかけることはないと誓うよ。一人立ちできるまで、金銭的なことは、いっさい心配ないよ。仕事が見つかるまで、あるいは、新しいパートナーが見つかるまで援助する。望むなら、一生、金銭的なものは保証する。
子供も、あなたの自由でいいよ。
子供のためだったら、なんでもするよ。
困ったことがあったら、いつでも、協力するから、心配しないで。病気になったら、いつもで面倒みるよ。
あなたが新しい相手と幸せを掴むまで、あなたが不安になるようなことはいっさいないようにするから」
そんな保証してくれたら、安心して離婚できるのでしょうか。
現実的にはそんな夫はいないでしょう。
万が一いたとしても、「そんな約束、守ってくれるわけがない」と疑えば、やっぱり離婚に踏み切ることはできないかも知れません。 (つづく)